デッドストック入荷情報(2024.02.05)

普段は日本語ラップ関連記事メインの当店ブログですが、当店のレコードの品揃えとしては2024年現在、大体「日本語ラップ3:和モノ2:ヒップホップ3:それ以外2」ぐらいのバランスになっていると思ってて(まあ、オープン当初には和モノのラインナップは殆ど無かったし、市場のトレンドとか店主の個人的趣味も関係しているので、在庫状況は常に流動的なんですが)。

中古盤メインで展開する当店はいわゆる中古盤屋と同じで、基本的には一点モノばかりですが、一部の日本語ラップ関連の新譜とか、海外のタイトルでも直交渉でうまくまとまれば複数枚が入荷するパターン(こっちの場合は新譜じゃなくて、ほぼデッドストック)も年に一、二度ぐらい入荷することがあったり、なかったり。
後者で言うと、過去一番のヒットは海外経由でMONDAY(MONDAY満ちる)”WAGAMAMA”のプロモ12″のデッドストックを掘り当てたこと、かも。
あとは、(今も販売中だけど…)CHOCO THE NEW HARLEM SOUND”MY LITTLE DONKEY”(12″)、GRANDMASTER CAZ”TO ALL THE PARTY PEOPLE”(12″)も両方USオリジナルのシールドコンディション(未開封)をそれぞれデッドストックで複数枚発掘できたり、それこそ1枚単位なら他のタイトルも確保できたケースも多いし。

世の中古盤屋では、デッドストックは開封してない、いわゆる新古品であることには違いないけど、シールドだと開封のリスク(中がどうなってるか分からない)もあるし、盤がうねってたり反ってるケースもあるからあんまり好まれないイメージなんですけど、自分はそこは割と積極的に仕入れる方で。
DJ的な観点だとシールドのままだと使えないから確実に開封することになりますが、一方でコレクターの観点で開封しないという前提だと、これ以上のコンディションは有り得ないし、盤が古くなればなる程、現存するシールドコンディションの球数は確実に減るわけで。
タイトルの人気・不人気を一旦置いておいても、コンディションで「世界中でコレが最後のシールドかもしれない」と感じたら、それはもうロマン以外の何物でもないし。
それが人気タイトルであれば現存率はまず間違いなく下がってくわけだから、コレはもうロマンですよね。
DJニーズがほぼほぼデジタルに置き換わって以降、フィジカルは骨董品化が加速する一方で、日本盤なら帯の有無で価値が全く変わることもすでにザラですが、コレクターニーズが今後も増えていけば、シンプルにシールドコンディションのデッドストックの価値もまた今後は見直されていくのではないかと勝手に考えていたりします。

前置きが大変長くなってしまいましたが、今回確保したデッドストックを紹介します。

DE LA SOUL_SAY I GOTTA BELIEVE

PARAPPA VS DE LA SOUL”SAY I GOTTA BELIEVE!”
(SONY COMPUTER ENT./UK 7″/PARAPPA 002)

A-1 SAY I GOTTA BELIEVE!(feat. DOUBLE)
B-SIDE SAME

DE LA SOUL_SAY I GOTTA BELIEVE_表
DE LA SOUL_SAY I GOTTA BELIEVE_裏

PLAY STATION(PS1)の元祖音ゲーで、PS2で続編がリリースされただけでなく、PSP/PS4でもリメイクされる等、説明不要の人気作品「パラッパラッパー」ですが、それに肖って関連のレコードの方も高騰しており。
PS1はゲームのステージ曲(ラップ入り)がO.S.T.のピクチャーLPとして、バス型のレコードプレイヤーとのセットでのみ一般発売され、すでに入手困難。
ただ、一般発売されたが故に500~1000枚(あるいは、それ以上か?)は流通していたはずで、元々プレイヤーとセットで高額だっただけで、純粋なレア度は正直そこまででもない気がします(まあ、それこそ未開封のデッドストックとなれば別格でしょうけど)。
で、こちらの”SAY I GOTTA BELIEVE”の方は、後のPS2「パラッパラッパー2」とのタイアップで、本編のO.S.T.用の目玉としてリリースされた一曲!
DE LA SOULをメインに、国内からも当時すでにTAKAKOのソロになっていたDOUBLE(!)が参戦した、日本企画ならではの座組みとなっています。

当時、日本のレコード屋には印字無しの黒ラベルできな臭い7″が限定数百枚という触れ込みで店頭に並んでいた記憶があり、一応それがTOMMY BOYリリースのオリジナル(プロモ?)とされていましたが、正直その真偽の程はかなり怪しく…。
当時その7″のオーダーは初回こそショートしたようなんですが、日本で再入荷した店舗もあったらしく(!)、DE LA SOULのネームバリューから考えて数百枚レベルの限定盤に2度目の入荷があるっていうのは、にわかに信じ難いことで。
実際、7″でもドーナツ盤とセンターホールが小さい盤の2種類が在り、更に別で青ラベルで落書きっぽいジャケ付き仕様の7″の存在も確認できています。
ごく短期間で3種類もの盤(プレス)が存在したっていうのは、正規プロモではあまり聞いたことがないし、そもそもラベル印字が無いって仕様が怪し過ぎるんで、恐らくはブートレグと考えた方が良さそうです(ちなみに、この7″の型番はTOMMY BOYだと考え難い「POPPA-1」…)。

レコード屋周りには、当時からほぼほぼ黒ラベルの7″しか流通しなかったせいで、長らく日本ではこの形でしかレコードは存在していないと認識していた人も多かったと思うんですが、実はゲーム業界側で出回ったピクチャー7″が存在しています(コレは後年に気付いたことで、店主も当時は気付かず…)。
どうやら、ピクチャー7″の方は「パラッパラッパー2」のリリース時にゲーム業界の関係者に配布されたノベルティーらしく、この度PS2関連のプロモーショングッズ周りから発掘したデッドストックになります。
故にレコード屋周りでは長らく見掛けなかったとすると合点がいくし、前述した日本での経緯も踏まえると、DE LA SOULメンバーのTRUGOY(THE DOVE)が亡くなってしまった今となってはなおのこと、数あるDE LA SOUL関連作品の中でも割と上位に入ってくるWANT盤かと(見た目もカワイイし)。
20年以上前の作品であることも考慮すると、(元々シールドが無いのでアレですが)未使用状態のコンディションで今後出てくることは考えにくいので、気になっていた方は是非この機会に…!
ちなみに、同曲には実は、こちらが収録されたDJ KAORI作のTOMMY BOYオフィシャル・ミックス「PARAPPA THE PARTY MIX」からのプロモという扱いで日本盤ピクチャー12″(インスト/アカペラ入り!)も存在しているというのは、ピクチャー7″以上に知られていない事実かも…。
こちらの方は、店主も実物をまだ拝んだことがない程のレア盤なので、いつの日か入手したいもんです。

最後に、もう少し”SAY I GOTTA BELIEVE”の中身の方も掘り下げておくと。
PS1「パラッパラッパー」のラストステージの一曲”I GOTTTA BELIEVE!”の続編的な内容と考えると、FOUR SEASONS”DECEMBER, 1963(OH, WHAT A NIGHT)”を使用していたそちらと比べて地味な印象は拭えないものの、ゲーム音楽を手掛けた松浦雅也(ちなみに、伝説の”ピングーラップ”もこの人の仕事!)、DOUBLEとの共作というクレジットになっているためDE LA SOULが実際にどこまで関与したかは謎ですが、彼等で言うところの5TH/6THアルバム「AOI: ~」シリーズのソリッドな音作りに通じる部分もある気がして、ファンならニヤリとさせられるはず。
また、DOUBLEのパートの方は、J-WAVEのラジオ番組「SOUL TRAIN」で知られるMC RYUが作詞を担当しており。
このMC RYUは「SOUL TRAIN」のパーソナリティーの他にも、DABOやDELI等の楽曲プロデュースやDOUBLEの作詞(英詩)等の制作仕事からMISIAのボイストレーナー、パーティーの司会など、2024年も現役で多彩な活動を続ける一方、アーティストとして自身の楽曲は殆ど遺していないという稀有な存在なんですが、そんな彼の多くはない関連楽曲/作品も折角なのでいくつか紹介しておきます。

K-DUB SHINE_最後の猶予
K-DUB SHINE_ビッグコッタ(SOUL TRAIN REMIX)

K-DUB SHINE”BIG KOTTA”(SOUL TRAIN MIX)
MC RYUの客演仕事で最も有名なのは「SOUL TRAIN」の冠が付いた、このREMIX仕事かも。
フックでのシャウトの印象が強いですが、イントロではバイカルチャーレベルの英語での呼び込みを披露しています。
ちなみに、このREMIXはDJ HAZIME仕事で、当時DJ HAZIMEの「MIXTAPE VOL.8」に収録された際は”BIG KOTTA”(DJ HAZIME REMIX)と表記されていたのが、公式リリース時に改題された模様。

DJ HASEBE_FOWL @YELLOW ON LIVE, 03/23/03

DJ HASEBE(A.K.A. OLDNICK)「FOWL @YELLOW ON LIVE, 03/25/03」
こちらはDJ HASEBEの、西麻布YELLOWで開催されていた自身がレギュラーを務めたパーティー「FOWL」でのライブ・ミックスで、MC RYUがホストに付いたもの。
公式にリリースされた楽曲ではありませんが、ホストMCとして冒頭から煽りまくってるんで、MC RYUの多彩な活動の一環としては分かりやすいかも。
2000年代初頭時の実際のクラブプレイになり、音質なども含めて正直粗いところもありますが、ミックスのアイデアにはニヤリとさせられる箇所も多く、単純にライブ・ミックス作品としてスリリングな出来だと思います。
DJ HASEBE自身も気に入っていたようで(?)、ジャケ違いの再発も存在しますが、こちらは最初に出回った飛行機ジャケの1STプレス。

O.S.T._パラッパラッパー_表
O.S.T._パラッパラッパー_裏

O.S.T.「パラッパラッパー」
そして、「パラッパラッパー」シリーズにおいては全曲の作詞のみならず、全台詞とカルチャーディレクションを担当し、声優としてゲーム/アニメに出演まで!
当時、ゲームのCMでも使われたことで、恐らくはシリーズ中で最も有名になったPS1「パラッパラッパー」のステージ1、タマネギ先生(英名はCHOP CHOP MASTER ONION!)の”CHOP CHOP MASTER ONION’S RAP”がMC RYUによるものだというのは、意外と知られていない事実かもしれません。
ちなみに、当時まったくスルーしてたけど、改めて聴き返してみるとドラムブレイクとカンフーっぽい掛け声はCOMMODORES”THE ASSEMBLY LINE”を使用してるんですね。
他の楽曲も、ドラムブレイクはけっこうな大ネタを使用してるんで、そういう耳でO.S.T.「パラッパラッパー」を改めて聴き返してみると新しい発見があるかも…!
写真は前述のピクチャーLPですが、A面はPS1ゲームと同デザインというのもニクい!

コメント

タイトルとURLをコピーしました