スネークマンショー”咲坂と桃内のごきげんいかが1・2・3″ – 日本語ラップ以前【22】

スネークマンショー_ごきげんいかが123_表

スネークマンショー”咲坂と桃内のごきげんいかが1・2・3″
(ALFA RECORDS/JPN 7″/ALR-727)

A-1 ごきげんいかが1・2・3
B-1 ごきげんいかが1・2・3(えぶりぼーでい・しんぎんぐ・ばーじょん)

日本語ラップの始祖とする説もある、細野晴臣が手掛けたラップ歌謡の名作!

スネークマンショー(SNAKEMAN SHOW)は元々、小林克也と桑原茂一(一足遅れて伊武雅刀も合流)による、古くは70年代の後半にはすでに活動を開始していたラジオDJ/コントのユニットですが、そんな彼等が参加したYMO「増殖」の縁で、細野晴臣が手掛けることとなったデビュー作「S.T.(スネークマンショー)」からの唯一のシングル。
81年(昭和56年)リリース、(諸説あるものの)日本初のラップレコードとされることもある一枚なんで、吉幾三”俺ら東京さ行ぐだ~”や田原俊彦”IT’S BAD”、佐野元春”COMPLICATION SHAKEDOWN”辺りと共に、ラップ歌謡の文脈では決して外せない名作の一つと言えるはず。

御大、細野晴臣が手掛けた、明らかにBLONDIE”RAPTURE”を踏まえたディスコビートに乗って、畠山桃内こと伊武雅刀と、咲坂まもること小林克也が拙いながらも、しっかりとしたラップを披露。
コントのキャラを乗せてのラップでもあり、クオリティー自体は後年のラップ歌謡とも大差無いものの、81年という本国のいわゆるオールドスクール期にサウンド的に見劣りしないレベルの作品が日本でも早々に生まれていた、という事実だけをとっても非常に意義深い作品には違いありません。
言うまでもなく、和モノA TO Z誌やラップ歌謡大百科をはじめ、国産ディスコガイドの常連盤!

ラップパートのみ抜粋すると、こんな感じ。
1ヴァース目が畠山桃内、2ヴァース目が咲坂まもるで、最初はしっかり目にヴァースを蹴るけど、以降はコント色が強くなっていって、あんまりラップはしてません。
それぞれのヴァースに早口言葉も混ぜてるんで、80年前後ぐらいはまだ日本だとラップ = 早口言葉という認識だったんでしょうね。

皆様、私のマイネーム、畠山桃内でございます
放送の仕事に携わり、かれこれ10年でございます
日夜鍛えたこの声は、あなたを決して放さない
まいまい・ねじまき・まみむめも、梅の実落ちても見もしない
はとぽっぽ・ほろほろ・はひふへほ、日なたのお部屋にゃ笛を吹く
焼き栗・茹で栗・やいゆえよ、やまだに火の着くよいの家
ムーラーレーローマーメーモー、はっはっはっはっ

ベーリーフェイマスアナウンサー、咲坂まもるでございます
放送の仕事に携わり、アバウト10年8ヶ月
エブリデー鍛えたこの声は、あなたをネーバー放さない
すももも・ももも・もものうち、となりの客は柿を食う
竹垣に、竹立てかけたのを誰立てた
竹や木コケたら皆コケた、カエルぴょこぴょこ・みぴょこぴょこ
あわせてぴょこぴょこ・むぴょこぴょこ
L・R・M・N・Z、センキュー

スネークマンショー”咲坂と桃内のごきげんいかが1・2・3″(RAP 1+2VERSE)

KURTIS BLOW”RAPPIN’ BLOW”バリのDO IT YOURSELFな裏の”ごきげんいかが1・2・3″(えぶりぼーでい・しんぎんぐ・ばーじょん)はインスト、と言うかフック残しのTVバージョンっぽい仕上がりで、何気に7″のみにしか収録されていません。
ちなみに、裏ジャケの歌詞に鉛筆っぽい落書きが入ってるのは元々のデザインなんでご心配無く!
一枚しか持ってない(見たことがない)と本当に前の所有者が書き込んだのかなって一瞬思っちゃう位に妙にリアルで、オークションだけでなく最近はレコ屋のキャプションですら、ちょいちょい落書き有りってコンディションを見掛けるけど元々そういう仕様なんで、そこは強調しておきます。

スネークマンショー_ごきげんいかが123_裏

折角なので、収録されてるLP「スネークマンショー(S.T.)」の収録内容も紹介しておきます。
帯のパンチライン「急いで口で吸え!」でもお馴染みの一枚。

スネークマンショー_スネークマンショー_LP_表
スネークマンショー_スネークマンショー_LP_裏

スネークマンショー「スネークマンショー(S.T.)」
(ALFA RECORDS/JPN LP/ALR-28009)

A-1 スネークマンショー”盗聴エディP-1″
A-2 YMO”磁性紀(開け心)”
A-3 スネークマンショー”盗聴エディP-2″
A-4 SHEENA & ROKKETS”LEMON TEA”
A-5 スネークマンショー”はい、菊地です”
A-6 スネークマンショー”盗聴エディP-3″
A-7 ROCKATS/ALL THRU THE NITE
A-8 伊武雅刀とTHE SPOILとお友だち”STOP THE NEW-WAVE”
A-9 SANDII”JIMMY MACK”
B-1 スネークマンショー”急いで口で吸え”
B-2 CRAP HEADS”黄金のクラップヘッズ”
B-3 スネークマンショー”シンナーに気をつけろ”
B-4 DOCTOR KESSELER”ME QUE ME QUE”
B-5 スネークマンショー”正義と真実”
B-6 KLAUS NOMI”COLD SONG”
B-7 ユー・アンド・ミー・オルガスムス・オーケストラ”咲坂と桃内のごきげんいかが1・2・3″
B-8 スネークマンショー”これなんですか”
B-9 スネークマンショー”ごきげんいかがアゲイン”

ちなみに、LPのラストには”ごきげんいかがアゲイン”ということで、”咲坂と桃内のごきげんいかが1・2・3″のREPRISE的なバージョンも収録。
インストや7″裏のDO IT YOURSELF的なバージョンとも違う、オリジナル・バージョンのビートにフックとおしゃべりが乗ってくる独特の仕様。
ラップ歌謡マニア~日本語ラップのマニアは(一応)7″とLPの両方を揃えておくべきかと!

コメント

タイトルとURLをコピーしました