スチャダラパー「スチャダラ外伝」 – #np 2024.04.01

本日4月1日は、調べてみるとスチャダラパーのSONY期のEP「スチャダラ外伝」のリリース日で(1994/04/01)、何気に今年で30周年だったりもして。※CDのリリース日
短冊CDでもリリースされた小沢健二との人気曲”今夜はブギー・バック”の大ヒットを受けて、同じようなロジックで異ジャンルとの(CD帯で言うところの)「アポなしセッション」盤ということで、”今夜はブギー・バック”もシレッと(再)収録しつつ、東京スカパラダイスオーケストラやゴンチチ、古巣MAJOR FORCE勢と絡んでいます。
“GET UP AND DANCE”も、教育番組「ポンキッキーズ」のテーマソングになって、BOSE自身も番組のレギュラーに抜擢される等、当時のスチャダラはマジでノリまくってました…!

スチャダラパー_スチャダラ外伝_表
スチャダラパー_スチャダラ外伝_裏

スチャダラパー「スチャダラ外伝」
(SONY・FILE RECORDS/JPN 10″×2/25FR-024)

A-1 はじめに…
A-2 トラベル・チャンス(feat. ゴンチチ)
B-1 今夜はブギー・バック(SMOOTH RAP)(feat. 小沢健二)
B-2 何処か…どっちか…
C-1 GET UP AND DANCE(feat. 東京スカパラダイスオーケストラ, LB NATION)
D-1 ついてる男 ’94 春
D-2 トラベル・チャンス(CRAB TURNIN’)

5曲入りのEPサイズだったCDはアナログでは12″の2枚組(イントロの”はじめに…”と”トラベル・チャンス”のREMIXを追加)した形でリリースされてて、内容のポップさとは裏腹にクラブプレイも意識したような仕様になっているのが、何気に興味深い感じ。
ちなみに、STERUSS”EXIT BREATH”のCRIME6のパンチライン「スチャダラ外伝最後の曲、ANIのヴァースみてぇに笑い飛ばす」の最後の曲っていうのはCDではラストだった”ついてる男 ’94 春”のことだと思います。
キャッチーなジャケは、現在はODDJOB所属で色々やってるイラストレーター、シャシャミン(オモロマン!)の最初期仕事!

全曲レビュー

A-1 はじめに…
何気にCDには未収録のプロローグ的インストは、逆にCDにしか収録されていなかった93年の前作「WILD FANCY ALLIANCE」収録の”プロロローグ”のリメイク的な内容で、FRANCE GALL”TOI QUE JE VEUX”をはじめ、八木誠のおしゃべり等を使用。
別バージョン的な仕上がりですが、最初からこの形のみでデジタル化しない前提での制作だったのか、”プロロローグ”よりもネタの手数が多い気がします。

A-2 トラベル・チャンス(feat. ゴンチチ)
アコースティックギター・デュオのゴンチチらしい、浮ついた心地良いギターの音色に定番ブレイクPOINTER SISTERS”YES WE CAN CAN”を合わせたビートに、BOSEとANIがそれぞれ旅行をテーマにキック。
ANIヴァースの「なーんにしよ晩御飯、今日はお豆腐、今日…豆腐、きょうとふ、ハッ、京都行きたーーい!」は、いつ聴いても京都府民をハッとさせるパンチライン!
フックの声ネタは言うまでもなく、SPOONIE GEE & THE TREACHEROUS THREE”THE NEW RAP LANGUAGE”から「SOUTH, TO THE WEST, TO THE EAST, TO THE NORTH, COME ON!」。

B-1 今夜はブギー・バック(SMOOTH RAP)(feat. 小沢健二)
もちろんラップ・バージョンで収録。
こちらはビートこそ小沢健二版の”今夜はブギー・バック”(NICE VOCAL)と同じですが、スチャダラパーのヴァース多め、中盤にはDJ SHINCOのスクラッチパート(JUNGLE BROTHERS”BRAGGIN’ AND BOASTIN'”の声ネタ使用!)まで用意された、よりヒップホップ色強めの構成。
NICE & SMOOTH”CAKE & EAT IT TOO”をイメージしたそうですが、直接的なネタ使いや引用はありませんが、小沢健二版のNICE VOCAL、スチャダラパー版のSMOOTH RAPってことで、NICE & SMOOTHな副題になってるんで多分に意識したのは本当かと!

B-2 何処か…どっちか…
古巣のMAJOR FORCE勢から藤原ヒロシと、K.U.D.O.こと工藤昌之が連名で手掛けたビートは、定番ブレイクHONEY DRIPPERS”IMPEACH THE PRESIDENT”を使用したリラックスムードで、一瞬だけAUDIO TWO”TOP BILLIN'”っぽく打ち込んでみたりする遊び心も含めて秀逸!
テーマを一つに定めていない(ように聞こえる)ぐらいの、ここでのユルめなスチャダラパーのリリックとの相性も抜群で、常に「心の(スチャダラ・)ベスト10」に入ってくるぐらい大好きな個人的スチャダラ裏クラシック!

C-1 GET UP AND DANCE(feat. 東京スカパラダイスオーケストラ, LB NATION)
BOSEがレギュラー出演する教育番組「ポンキッキーズ」のテーマ曲にもなった、FREEDOMの同名曲のカヴァーラップ!
東京スカパラダイスオーケストラの生演奏による原曲再現ビートの上で、スチャダラパー率いるLITTLE BIRD NATIONことLB NATIONメンバーによる大マイクリレーが最高過ぎるポッセカット。
9分近くにも及ぶ長尺曲ですが、お笑い色が強い脱線3辺りから、四街道NATUREやキミドリのヴァースまで彩り豊かで飽きずに聴かせる作りは流石。
後にサイプレス上野とロベルト吉野が、自分達の世代の仲間を引き連れ、愛とリスペクトを込めてカヴァーしたことでもお馴染みのはず。

D-1 ついてる男 ’94 春
CDではラストに収録されていた、前年の「WILD FANCY ALLIANCE」収録の”ついてる男”の94年春版REMIX。
ある同じ日常をBOSEは「ネガティブな、ついてない視点」で、ANIは「ポジティブな、ついてる視点」から歌ったアイデアは、DEV-LARGEも嫉妬した”後者(THE LATTER)”の発展形と言えそうですが、やはりBOSEとANIの2MCならではの構成で巧い!
練り込まれたラップのリリックはさすがにオリジナル・バージョンそのままですが、ビートの方はメインに宮川泰”テレサのためいき”をコーラスごと使用して、フックでもROY AYERS UBIQUITY”EVERYBODY LOVES THE SUNSHINE”を塗したり、こっちの方がより手数が多い感じ。

D-2 トラベル・チャンス(CRAB TURNIN’)
ボーナストラック的に収録された”トラベル・チャンス”(CRAB TURNIN’)は、POINTER SISTERS”YES WE CAN CAN”のドラムはそのまま、BOB JAMES”STORM KING”を合わせたビートは、ある意味、原曲から上ネタだけを差し替えたものですが、後の「ポテン・ヒッツ(シングル・コレクション)」に収録されたのがこちらだったせいか、今となってはこっちの印象が強い感じ。
どこかアンニュイな雰囲気もあったゴンチチとのオリジナル・バージョンよりも、もっとヒップホップ然とした作りなんで、ヘッズにウケるのもやはりこっちかと。

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