山田邦子”邦子のかわい子ぶりっ子(バスガイド編)” – 日本語ラップ以前【6】

山田邦子_邦子のかわい子ブリっ子(バスガイド編)

山田邦子”邦子のかわい子ぶりっ子(バスガイド編)”
(VICTOR/JPN 7″/SV-7183)

A-1 邦子のかわい子ぶりっ子(バスガイド編)
B-1 邦子のかわい子ぶりっ子(はげましの声入りカラオケ)

芸人×ラップのハシリで、SPECTRUMがバックを務めた本格派ラップ歌謡!

81年(昭和56年)リリースの1STシングルで、当初は漫談家として芸人デビューした山田邦子の人気ネタを音盤化した一枚。
クレイジーキャッツ~ドリフターズ辺りのコミックソングからの流れか、80年代には芸人が(実験的な)楽曲を発表することは珍しくなく、その殆どが大して売れなかったものの、その実験性(と売れなかったことでの希少性)故、今となっては和モノ定番として評価されるものもあって、本作も正にそんな感じ(全くレアじゃないけど)。
そもそも、81年リリースで吉幾三”俺ら東京さ行ぐだ~”よりも何気に早かったことに驚かされますが、本編のCHIC”GOOD TIMES”を明らかに意識したであろうビートは、なんとSPECTRUMメンバーの演奏によるもの。
純粋なラップ歌謡として聴き返すなら、もはや耳障りの域に達している山田邦子のヴォーカル入り = ギャグの応酬に付き合うべきなんですが、一方で”GOOD TIMES”のRE-EDITディスコとしてカラオケを楽しむのも吉。
“ヒゲのテーマ”をTEDDY PENDERGRASS”DO ME”のRE-EDITとして楽しめる向きには、間違いなく本作のカラオケも美味だと思います。

ラップ風のギャグパートのみ抜粋すると、こんな感じ。

1番
エ、皆様、本日は
エ、妖怪バス、エ、ご利用いただきまして
エ、誠に、エ、ありがとう、エ、ございます
エ、鳳啓助でございます
何のこっちゃ
エ、本日、皆様のお供いたします
運転手は君だ、車掌は僕だ
お前は誰だ、ア、おれ矢沢、ハイよろしく
失礼しました
エ、ドライバーに、ララミー田吾作
そしてガイドは私、かわい子ぶりっ子ぶりっ子
ぶるぶるぶりっ子、あなたのぶるぶる邦子です
どうぞよろしくお願いいたします
気持ち悪いですか? うるさい黙れ、この野郎
忘れるな、心を込めたおもてなし
おもてなし、おもてなし
裏はあっても、おもてなし、アーハッハッ…

山田邦子”邦子のかわい子ぶりっ子(バスガイド編)(RAP 1VERSE)

文字に起こすとマジでキツい+ナンセンスな歌詞で、抜粋は1番だけでご容赦いただくとして、ただひたすらに当時の持ちネタ(ギャグ)を乗せていくコミックソングなんで、正直歌入りで聴くのは今となってはだいぶキビしいものがあります。
そんな中で唯一、現行の日本語ラップとの接点を無理やり見出すとしたら、「裏はあっても、おもてなし」がMANTLE(AS MANDRILL)”周りは罠(緑の五枚刃)”のVIKNヴァースのパンチライン「裏しかない、これが東京おもてなし」にカスッてるってぐらいか…。

2:07~

真面目な話をすると(?)CHIC”GOOD TIMES”のリリースが79年、USシングルチャートで1位に輝いたのが同年の8月のようで。
間髪入れず、79年9月にはSUGARHILL GANG”RAPPER’S DELIGHT”がリリース(日本盤の7″は80年リリース)なんで、その翌々年81年の12月に本作がリリースされた、というタイム感。
“RAPPER’S DELIGHT”が収録された1STアルバム「S.T.(SUGARHILL GANG)」も80年リリースになるんで、世界的に見ても大きく離されることなく日本から早々に追随したのが、ニューヨークにかぶれていた佐野元春でも風見慎吾でも、MICHAEL JACKSONフォロワーの田原俊彦でもなく、お笑い芸人の邦ちゃんだったというのが日本のリアル…!
本作におけるヴォーカル(ギャグ)が、そもそもラップ的であるか否かは議論の余地がもちろんあるんですが、本作をラップとは認めない向きも、最低限”GOOD TIMES”ビートにいち早く着目してリメイクした、作曲を手掛けた渡辺直樹(スペクトラム)の選球眼については評価すべきだと思います。

山田邦子_ファースト

山田邦子「ファースト」
(VICTOR/JPN LP/SJX-30145)

A-1 口上
A-2 邦子のかわい子ぶりっ子(バスガイド編)
A-3 お絵書き歌
A-4 おしゃべりエレベーター・ガール
A-5 CM スペシャル
A-6 DO THE ひょうきん
A-7 アンアン小唄
A-8 サリーちゃん電話
B-1 つっぱりハイティーン・ガール(ちょっとそこ行くお兄さん)
B-2 邦子のかわい子ぶりっ子(オカマ編)
B-3 夜のしおり
B-4 ツービート・フォービート
B-5 センセーショナルクニコ
B-6 邦子ごますり袋
B-7 ルンルンルン(夢みる17才)
B-8 およびでない

ちなみに、本作が収録された1STアルバム「ファースト」には、”邦子のかわい子ぶりっ子(バスガイド編)”の7″を33回転再生しただけ(!)の”邦子のかわい子ぶりっ子(オカマ編)”も収録されています。
本来45回転で再生されるべき声が、回転数が落ちて野太くなってて、それをハッキリとオカマとぶった斬ってしまうという、現代では考えられない粗挽きな昭和センス。
まあ、そういうことに大らかだった時代ということか、ワンダーウーマンを意識したであろうジャケもスゴいし。

ラップ歌謡大百科、レコード大喜利誌に掲載され、2010年代にはP-VINE発のV.A.「ラップ歌謡曲(第2弾) あの娘にカセットをあげよう」にも収録されました。

コメント

  1. そう言えば、スペクトラムのライブ(「オプティカル・サンライズ」発売時)の第2部では、ギターとベースが出てきて、当時流行っていたヒゲダンスをやってました。あまりカッコいいステージングだったので、カメラで撮っていましたが、終演近くにバイトの係員に見つかってフィルムを没収されました…。
    でも、そのカメラはダミーの方だったww

  2. Logさま、コメントありがとうございます。

    スペクトラムのライブ!ステージでヒゲダンス!私は彼等のステージは観たことがないんですが、”ミーチャン GOING TO THE HOIKUEN”辺りを聴くとシャレの効いた人達だったんだろうな、とは何となく想像していたんで、やはり!という感じです。

    じゃなきゃ、山田邦子のバックとかやらないですよね~、多分。。

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