ミス花子”しつれい節” – 日本語ラップ以前【9】

前回の”河内のオッサンの唄”に続いて、ミス花子でもういっちょ!

ミス花子_しつれい節

ミス花子”しつれい節”
(CANYON/JPN 7″/7A0324)

A-1 しつれい節
B-1 ほんまに

マジに失礼で下品…。三三七拍子に乗せたコミック・ラップ歌謡!

前回に続いて、ミス花子からもういっちょ!
83年(昭和58年)リリース、ミス花子と言えば ”河内のオッサンの唄” がダントツで有名ですけど、こちらの”しつれい節”も三三七拍子で乗せてくる作りが、日本人にとってはむしろ馴染みやすい気がします。
ドリフターズの”ドリフの早口ことば”辺りにも通じるニュアンスのコミックソングですが、本作はイントロからして、”河内のオッサンの唄”をもっとファンキーかつエレクトロ風に、80年代っぽい耳当たりに仕上げた感じで、和モノとして普通に興味深い感じ。

ラップ(風)パートを抜粋すると、こんな感じ。

朝起きて顔洗い、トイレに駆け込み終わったら
ふと見りゃ紙が無い、失礼なことはないチャンチャン

ヒーターのよく効いた、満員電車の中で
音のないオナラする、失礼なことはないブンブン

銭湯に入ってたら、俺のをチラッと見た奴が
タオルを肩へかけ直す、失礼なことはないチンチン

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オカマの応援団に、顔を貸せと脅かされ
ついて行きゃ校門だ、失礼なことはないエイズ

女の子の更衣室を、覗いていたら先生が
コラコラはよ代われ、失礼なことはピンピン

音楽でドの音を、腹から出そうと気張ったら
下からミが出た、失礼なことはないチャンチャン

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麻雀で「テンパッてない、テンパッてない」と言いながら
ヤミの安手でアガる奴、失礼なことはないロンロン

月に一度の、給料日の夜だけの
ニヤッと笑う嫁の顔、失礼なことはないチャンチャン

うちの嫁はんに、「テレビを回せ」と頼んだら
テレビごと回しだす、失礼なことはないチャンチャン

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「ねぇあなた、今晩お暇?今晩、私と付き合って」
喜べばあの日やないか!失礼なことはないタンポン

パチンコのフィーバーで、金が無くなり席立てば
あとの奴がフィーバーするほど、失礼なことはないチャンチャン

国鉄で切符を買えば、お釣りが沢山出てきたよ
喜べば切符が出ない、失礼なことはない値上げ

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こんな不景気に、「給料上げろ!上げろ!」と
騒ぐ社員ほど、失礼なことはないチャンチャン

いつもは飲めない奴が、会社の驕りと分かったら
飲み過ぎてもどす奴ほど、失礼なことはないチャンチャン

ベートーヴェンのレコードが、700円で買えるのに
こんな歌も700円とは、失礼なことはないチャンチャン

ミス花子”しつれい節”(RAP VERSE)

改めて文字に起こすと、失礼と言うよりも単にむちゃくちゃ下品。
それぞれのブロックがショートネタのギャグみたいになってるけど、テーマが「酒・女(下ネタ)・金(ギャンブル)」メインで、ただただ下品なんで、改めて検証するような楽曲じゃなかったすね…。
ただ、”河内のオッサンの唄”は、文末を「ワレ」で統一することで(結果的に)なんちゃって韻として機能していたのを、本作の方ではブロック単位の締めを「チャンチャン」とか「プンプン」といった擬音にすることで、またしても近しい効果になっているような気がします。

惜しむらくは、三三七拍子でショートネタを羅列するってプロットのアイデアは面白かったけど”河内のオッサンの唄”ほど売れなかったため、今にしても知名度が低過ぎるのが残念。
和モノA TO Z誌には掲載された後も再評価の兆しは一切ありませんが、ラップ歌謡を掘り下げたい有志(物好き)は機会があればどうぞ…!

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