山口良一”10年目の神田川” – 日本語ラップ以前【13】

風見慎吾”BEAT ON PANIC”、松居直美”15のノンノ”に続いて、欽ちゃんファミリーから3枚目!
ここだけ見たら、欽ちゃんがラップ好きだったのかと勘繰っちゃうけど流行りと単なる偶然ね、多分。

山口良一_ABOUT_表
山口良一_ABOUT_裏

山口良一「ABOUT」
(FOR LIFE RECORDS/JPN LP/28K-53)

A-1 I GATTA ME
A-2 イヤな女
A-3 10年目の神田川
A-4 草競馬
A-5 I CAN FEEL YOU
B-1 喝飛会社員
B-2 #P・バラッド(四角い戦場にメリ込みます)
B-3 地平線から今まさに登らんとする岩山ブス考(BGM・大脱走のマーチ)
B-4 太郎に言ったろ!
B-5 “唄にもならないCOPYの群を並べ変えただけの実に構想2ヶ月、未完成のまま、ここにミゾミゾ” 糸井だったら牛だったのにね

かぐや姫”神田川”の後日談的アンサーソングをラップ仕立てで…!

“ハイスクールララバイ”のヒットでお馴染み、イモ欽トリオのヨシオこと山口良一の、81年(昭和56年)リリースのソロデビュー作「ABOUT」から。
例えば、吉幾三”俺ら東京さ行ぐだ~”や山田邦子”邦子のかわい子ぶりっ子”(バスガイド編)等、当時、最先端のアートフォームだったラップと、実験的な作風が多くなりがちなコミックソングとの親和性の高さはもはや言わずがなですが、本作も正しくそんな系譜上の実験的一曲。

南こうせつとかぐや姫”神田川”の後日談的アンサーソングというコンセプト自体がコミックソング的(あるいはヒップホップ解釈だとアンサーソング的)ですが、「ラップ」と言うよりは「語り」に近いグレーなラップ歌謡も多い中、ラップで音に乗ることを意識的にトライしている点で個人的には高評価!
歌詞自体はコミックソングと言うよりも、むしろコント寄りの雰囲気だけど、SOOO BAAD REVUEやVOICE & RHYTHMメンバーとして活躍したギタリスト、石田長生が参加した本気モードのプロダクションで、サウンド面を引き締めたバランス感覚も良き。

ラップ(風)パートを抜粋すると、こんな感じ。

いつ、忘れたよ、フン
ずっと昔の手ぬぐいマフラー
ひとつ屋根は、イヤイヤ
だったのよ

バカ、横丁の親父
おまえの流し目で、何日経っても
うなされ続けて寝込んじまったぜ

無知なのね、とても一緒に
出るには
時間が余るし、髪が冷えては
悔しいだけでしょ

ケッ、アホかいな、誰が赤い手ぬぐいで
サメ肌避けだと云われてたんや
青春を返せ

フン、その顔でも見たら
クレパス女が
誰が似顔絵描いてと云ったの?
瓜二つだわ
悲しいのはこっちの方、三畳一間
悔しいのはこっちの方、ミス神田川
10年間も一緒に居て、もう飽き飽きさ
何にも恐くないから平気、あんたは偽善者

山口良一”10年目の神田川”(RAP 1VERSE)

パート毎に男女、それぞれの言い分を声色を変えて言い合う一人喧嘩コントで、プロットの面白さに加えて、普通にけっこう器用な気がします。

本カテゴリーだと紹介するのはラップ歌謡の”10年目の神田川”になりますが、宇崎竜童が全編をプロデュースした本編は、他にも実験的な楽曲が多数。
ダウンタウンブギウギバンド”港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ”をディスコタッチにパロディしたような”イヤな女”、宅録テクノ歌謡(?)仕立ての”唄にもならないCOPYの群を並べただけの~”等、2010年代にCD化して発掘されたのも、どこか納得出来る力作だと思います。

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