今、FRONTを読み返す – MAY 1998

FRONT_MAY 1998

表紙 – A TRIBE CALLED QUEST

表紙はA TRIBE CALLED QUEST、1998年5月号!
ジャケよろしく、同年9月29日にリリースされたA.T.C.Q.の5THアルバム「THE LOVE MOVEMENT」に先駆けたタイミングで彼等のインタビューに、NOTORIOUS B.I.G.の一回忌ということで追悼/事件検証記事がメイン。
大規模なディスクガイド記事が無く、当時そこまで読み込んでなかったせいか、個人的にはそこまで印象深い号ではないけど、改めて今また読み返してみると、リリース前の「THE LOVE MOVEMENT」を「自他ともに認めるUMMAH好き」のDJ KIYOが誌上試聴~レビューするとか、面白い喰い合わせの企画があったり、まだ”LIFETIME RESPECT”でのブレイク前の三木道三を早々とピックアップしていたりとか、なかなかの読み応え。

DJ KIYOが「THE LOVE MOVEMENT」を評するにあたって、4THアルバム「BEATS, RHYMES & LIFE」に言及する一幕があって。

(「BEATS, RHYMES & LIFE」を)初めて聴いた時は”スゲエ”と思ったし、実際皆も騒いでたけど……今になってみると、やっぱり3枚目の方がいい(笑)。ジェイ・ディーが入ってから、音が全く変わったじゃないですか。洗練され過ぎたっていうか……もともとタイトな部分っていうのはトライブ自体の味としてあったし、そういう部分は凄く好きなんだけど、4枚目に関してはそれが行き過ぎちゃった感じはありますね。
だから、初めはそのタイトさにやられてたんだと思う。でも、ビートなんか本当にガッチガチだから、クラブでかけてもあまりパッとしなかったりして……

FRONT – MAY 1998

今でこそ、UMMAH出身のJAY DEE = J.DILLAのいちアーティストとしての活躍と比例するように4THアルバムも再評価されてきた印象があるけど、リリース時から2000年代ぐらいまでは4THアルバムは(過去作と比べたら)やっぱり凡作って評価が支配的で。
そんな中、UMMAH好きを自称するDJ KIYOですらこんな風にコメントしてたっていうのは、当時の空気感を表している気がします。

三木道三の方は、ミックステープ版の「MIKI-FM 1997 ヘルス」を経て、アップグレードしたCD版の「MIKI-FM 1998 MEGAヘルス」リリースのPRということで、インタビューと自身のディスコグラフィーをコメント付きで振り返る「”三木道三”素語録?」が面白い!
以下、ソロ名義の7″作品のコメントを抜粋。

“JAPAN 一番”
例えばアメリカンやジャメイカンが自分の国を誇る歌を歌ってるじゃないですか。うらやましくてね、日本が好きな僕はイライラしてた。日本人を含む何人でも、日本のことが好きなら歌いたくなるカッコイイ歌があればなあ、と。誰もしないので俺がした、という感じ。諸外国という”ソト”を意識して”にほん”じゃなくて”Japan”一番。リスペクトしてる外国にも自らを誇ってないとナメられるしね。

“むちゃくちゃやんけ”
“Japan 一番”で日本のことをほめちぎったけど、現実には嘆きたいことも多い。むちゃくちゃやんけー!ってね。歌詞を替えたらずっと歌うことはあるんじゃにですか?あんがあんがやんなっちゃうな、あんがあんが驚いたってやつ。”いいじゃん”のマキシ・シングルに98年版が入ってます。

“DOSURUNO?”(feat. MAYU)
キーワードは”楽しいSex”。まあ、俺の曲はそんなん多いですけどね。CDに入ってないので、7インチでどうぞ。

“道三スタイル”
“俺イズム”つまり”三木道三イズム”のいたって明るい方。その対極にある”道三イズム”は”築け”とか”それでいこう”とかかな。聴いてて上がってくるようなのが作りたかったんですよ。脳内革命!

“I SAY MY GODESS”
これはラヴレターを読み上げてるだけです(笑)。ただこれは英語で歌ってますねー。でも、自然と英語の詞が浮かび上がってきたんですよ。で、日本語でDJして。恥ずかしいね。でも、歌詞とメロディにジャメイカのスティーリーっていう有名ミュージシャンに絶賛されて自信が出た。

“へべれけでいけ”
アキソルの”飲んだら乗るな”という曲と同じトラックで、アンサー・ソング作ったら面白いなー思うて。「飲み過ぎに注意」に対する「へべれけ賛歌」。酔っぱらった感じでテキトーな歌詞です。

“マカセナ”
これはふざけすぎ、ですね。女子高生に電話して「最近どーしてんの?」とリサーチをかけて作りました(笑)。三木道三イズムのかなりふざけた一面ですね。当然CDには入れられません。7インチでどうぞ。

“君はもみじまんじゅう”
広島のとあるサウンド・システムからダブを依頼されて、広島用の歌を作ってみました。ラヴ・ソングではあるけど、甘さカットで(笑)。昔の歌謡曲みたいでしょ。実体験かどうかは、想像に任せます。

FRONT – MAY 1998

今回の日本語ラップ広告はEL DORADOの12″で、SUIKEN”THE SENSE”と、LUNCH TIME SPEAX”止マッテタマッカ!!!”をそれぞれで。
EL DORADOはCISCOがディストリビュートしてて、しっかりとカラーで出稿してました。

日本語ラップ畑のインタビューは、三木道三に加えて脱線3を掲載、98年のEP「DAS BACK AGAIN」リリース時の内容になっています。

DEV-LARGE連載 – THE WORLD OF BUDDHA BRAND

DEV-LARGEの連載「THE WORLD OF BUDDHA BRAND(コワスギルCOREすぎるズルムケな男の世界)」の本号のロゴはこんな感じ。

DEV-LARGE_THE WORLD OF BUDDHA BRAND_MAY 1998

今回はちょっと趣向を変えて、SHAKKAZOMBIEのヒデボウイを聞き手に迎えて、DEV-LARGE、CQ、MASTERKEYの3人にインタビューするという企画。
ニューヨーク時代の話を掘り下げてるけど、残念ながらNIPPSは不在となってます(次号はKEN SPORTのインタビューを掲載)。
翌月の6月号に続きを載せるって書いてあるけど、こうやってちゃんと振り返って検証してみるとぜんぜんアナウンス通りに進行してませんね、このコーナー…。

最後、裏表紙(内側)はこんな感じ。
MURO、TWIGYのキャリア初期作をリリースしたDJ BEN THE ACE主宰のSPELL BOUND RECORDSのレーベル広告!

どっかで見たイラストだなーと思ったら、2005年に同レーベルから再発的にリリースされたBEN THE ACE名義のインスト12″「YINSTRUMENTALS EP」のセンターレーベルに登場してましたね。
WU-TANG CLANはもちろん、JERU THE DAMAJAにAFU-RA等、ヒップホップとカンフー(功夫)との関係はディープな世界が存在してるけど、日本語ラップにおいて語るべき奥行きはほぼ無い気がしますね、意識してみると。

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