なぜ今、FRONTなのか?
90年代中期、インターネットがまだまだ普及していなかった時期で、日本においてはヒップホップ(日本語ラップを含む)に特化した情報がまとまって手に入るチャンスは皆無だったことを思うと、FRONT誌が遺した功績たるや今更ながら計り知れません。
あの時、FRONT誌がなかったら、ここまでBボーイズが共通の歴史認識を持つことはまず有り得なかっただろうし、後にBLAST誌として日本語ラップ・シーンを牽引した事実も踏まえなら、今日の日本語ラップの隆盛さえ無かったに違いない、とさえ思ってて。
ともかく、確かに「あの時、イノベーションが起こった」のは揺るぎない事実。
FRONT~BLASTへと続いた流れは、言うまでもなくAMEBREAK/RAP STREAMとして、その後も長らく続いたわけだけど、「コトの起こり」はもっとスリリングで熱量に満ちたものだったことを、どうにか後世に語り継ぎたい、そんな気持ち。
かつて在った日本初のヒップホップ専門誌、FRONTを今、また改めて読み返す。
内容に興味を持った人が居たら、ぜひ古本屋やオークションで探してもらってコンプリートを目指してほしいと思います。
CDに対するレコードが、ミックスCDに対するミックステープがそうであるように、デジタルの圧倒的な利便性さえもアナログが(アナログゆえの)熱量と勢いで凌駕してしまうことは、ままあります。
インターネットで色々な情報が手に入る今もなお、すでに20年以上も前に出回ったFRONT誌が教えてくれることは多いと、店主は確信しています。
というわけで、FRONT誌を、ラストの98年12月号(表紙はPETE ROCK)から、時代を遡る形でご紹介。
当時の掲載内容と、現在から振り返っての事実検証を行っていきます。

表紙 – PETE ROCK
98年のPETE ROCKと言えば、正しく初のソロ作「SOUL SURVIVOR」の頃。
レビューコーナーにはJAY-Z「VOL.2…HARD KNOCK LIFE」も載っているけど、「SOUL SURVIVOR」の扱いの方が大きいというのが、当時の日本の空気感。
ROC-A-FELLAよりも日本ではLOUDの方が話題性がある、そんな時期だったように思います。
ちなみに、GANG STARRと一緒にFREDDIE FOXXXのインタビューも載っていて、後に小ビーフを巻き起こすことになるERIC B & RAKIMの相方話は、すでにここで少しだけしていたりします(俺が行かなかったからERIC BはRAKIMと組んだ、的な)。
特集はBAD BOYで、FAITH EVANS、TOTALに加えて、HITMEN。
そんな流れで「BACK DOWN MEMORY LANE」と銘打ち、R&Bバラードの特集なんてものも。
特集 – BACK DOWN MEMORY LANE
DJ編(第1回)ということで今も現役の錚々たる顔ぶれが選盤していますが、そんな中で明らかに垢抜ける前のDJ KAORIやDJ FUMIYA辺りが登場しているのにも時代を感じます。
DJ CELORY – ROGER”I WANT TO BE YOUR MAN”
FRONT – DECEMBER 1998
CICCIO – READY FOR THE WORLD”LOVE YOU DOWN”
DJ FUMIYA – R. KELLY”BUMP N’ GRIND”
DJ GZ-JAY – GARRY GLENN”FEELS GOOD TO FEEL GOOD”
DJ HASEBE – JOE”ALL THE THINGS”
DJ HAZIME – ISLEY BROTHERS”(AT YOUR BEST)YOU ARE LOVE”
DJ HIRO – MANHATTANS”DON’T SAY NO”
DJ JIN – ISLEY BROTHERS”DON’T LET ME BE LONLEY TONIGHT”
DJ KAORI – KEITH WASHINGTON”KISSING YOU”
DJ KEN-BO – PEABO BRYSON & ROBERTA FLACK”TONIGHT, I CELEBRATE MY LOVE”
DJ KENSAW – BRYAN FERRY”SLAVE TO LOVE”
DJ KIYO – PAULA ABDUL”RUSH RUSH”
DJ KOYA – HI-FIVE”I LIKE THE WAY(THE KISSING GAME)”
DJ MAGARA – BOBBY BLAND”MEMBERS ONLY”
DJ MAKI THE MAGIC – TONY TONI TONE”IT NEVER RAINS”
DJ MISSIE – CHANTAY SAVAGE”I WILL SURVIVE”
DJ OHKUBO – JANET JACKSON”COME BACK TO ME”
DJ SERGIO – FORCE M.D.’S”LOVE IS A HOUSE”
DJ SHUHO – BOBBY BROWN”ALL DAY ALL NIGHT”
DJ TAIKI – ANITA BAKER”ANGEL”
DJ TATSUTA – TONI BRAXTON”BREATHE AGAIN”
DJ WATARAI – JANET JACKSON”WHERE ARE YOU NOW”
DEV-LARGE連載 – THE WORLD OF BUDDHA BRAND
DLだいーじゃんこと、DEV-LARGEの連載コラム「THE WORLD OF BUDDHA BRAND(こわすぎるCOREすぎズルムケ男の世界)」は原稿だけじゃなく、コーナーロゴも毎回、氏の手書きで、これも楽しみの一つでした!
本号のロゴはこんな感じ、渋い…!

しかし、改めて書き出してみると内容濃ゆい!
裏表紙(内側)はこんな感じ。LUNCH TIME SPEAX”GROUND ZERO”のEL DORADOからの12″の広告!


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