スーパー・エキセントリック・シアター”BEAT THE RAP” – 日本語ラップ以前【25】

スネークマンショー、YMOときたら、大方の予想通り(?)やはりこの辺を!

スーパー・エキセントリック・シアター_ニッポノミクス_表
スーパー・エキセントリック・シアター_ニッポノミクス_裏

スーパー・エキセントリック・シアター「ニッポノミクス」
(YEN RECORDS/JPN LP/YLR-28016)

A-1 CBB RADIO NEWS HOUR(ギャグ)
A-2 BEAT THE RAP
A-3 NABE(ギャグ)
A-4 YUKAI DENWA(ギャグ)
A-5 CORYAMATA DOJAROKAI
A-6 BUREI KO PT.1(ギャグ)
A-7 BUREI KO PT.2(ギャグ)
A-8 YOSAHOI BUSHI
B-1 FRANCE EXTER RADIO NEWS HOUR(ギャグ)
B-2 OH LES BEAUX JAPONAIS!(すてきな男性)
B-3 素人不幸自慢
B-4 男!日本花吹雪
B-5 AVEX(ギャグ)
B-6 美しき心中(星になった二人)
B-7 日本の夜

「脳ミソは笑えるか!」(帯より抜粋)、YMO印のラップ歌謡の通算4曲目!

スーパー・エキセントリック・シアターは、三宅 裕司が主宰する老舗劇団(かつては斎藤洋介や岸谷五朗、寺脇康文辺りも在籍)で、その唯一のアルバム「ニッポノミクス」は84年(昭和59年)リリース、当時にラジオ絡みの繋がりで絡んだYMOの高橋幸宏がプロデュースした一枚(レーベルは細野晴臣と高橋幸宏が主宰したYEN RECORDS)。
正直、(時期的にも内容的にも)どう見てもスネークマンショーの二番煎じなんで、音楽史的には同作ほどはやはり評価されず、むしろほぼスルーされている気がしないでもないんですが、意識的にラップを取り入れた”BEAT THE RAP”だけは、ラップ歌謡の文脈でたまに掘り起こされる機会もある一曲かと。

時系列で並べてみると、81年2月にスネークマンショー”咲坂と桃内のごきげんいかが1・2・3″、同年3月にYMO”RAP PHENOMENA(ラップ現象)”、翌年の82年12月に山田邦子”哲学しよう”が細野晴臣プロデュースでリリースされ、(そもそもスーパー・エキセントリック・シアターは83年のYMO「SERVICE」に参加した経緯がありますが)それに続く形(84年3月)。
“咲坂と桃内のごきげんいかが1・2・3″は御存知の通りコント仕立ての内容ですが、こちらはタイトルにもあるように、よりラップというアートフォームを意識して2ヴァース目から明らかにT-SKI VALLEYやKURTIS BLOW辺りを参照したであろう達者なラップ(恐らく三宅裕司)を聴かせていて、スネークマンショー曲から3年を経て、しっかりとラップ的なアップデートが確認できます。

続いて2ヴァース目が大阪の商人(?)、3ヴァース目が北海道の方言女性、4ヴァース目がフェロモン強めのギャル、5ヴァース目に東京目黒区女性が続き、小倉久寛が語りっぽいスタイルでトリを飾る構成になっています。
また、冒頭の英語でのラップの作詞には、YMO”RAP PHENOMENA(ラップ現象)”と同じくPETER BARAKANが関わっています(恐らく本人がラップもしてる)。

ちなみに、”BEAT THE RAP”以外の楽曲も振り返ると、正直ギャグパートは現代の感覚ではかなりキツいところもあり、実際2019年のCDでの再発では、今の感覚では不適切という判断から”素人不幸自慢”が省かれていたりします。
まあ、80年代に勢い先行で制作されているのはやむを得ない部分を考慮しても、ギャグパートがことごとくつまらないのはキビしいですね…。

CD再発時、SONYからスーパー・エキセントリック・シアターの三宅裕司と小倉久寛による対談動画が公開されているので、そちらも合わせてどうぞ。

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