日本語ラップ VS【STUDIO LIVE】

少し前にZEEBRAが、盟友DJ KEN-BOとの1MC + 1DJスタイルで、DOG HOUSE STUDIOのスタジオライブを観て、いまだ衰えない直球の格好良さに震えたヘッズは多かったと思いますが、こちらのDOG HOUSE STUDIO(「INSPIRATION CULT MEDIA」)はこれまでにもD.OやDLIP RECORDS勢、AKLO、5LACK(S.L.A.C.K.)等が度々良きスタジオライブを行ってきており、注目していたチャンネルの一つでした。

他にも、数々の大物邦アーティストが一発撮りを披露してきた超人気チャンネル「THE FIRST TAKE」に、CREEPY NUTSをはじめ、PUNPEE、キングギドラ、BAD HOP、MOROHA辺りの日本語ラップアクトが参戦したり、「RED BULL 64 BARS」企画が人気の「レッドブルマイク」なんかも有名MC達のサイファー動画を定期的に公開する等、(基本的に一曲だけど)近しいニュアンスがあると思います。
これらの良質なチャンネルが継続的に運営され、しかも無料で視聴可能というのは本当に良い時代になったな、としか言い様がなく。

レコーディング作品とはまた違った、一発撮りの(基本的に)無加工が故のスリリングさが好きな時に好きなだけ楽しめるようになって久しいですが、元々はミックス作品のエクスクルーシブなり、オリジナル作品の特典やライブ物販用のCD/DVD等、どちらかと言えばコア層向けの、言わばファンサービス的な側面があった代物だと思います。
そんな良きスタジオライブ音源を、フィジカル中心にまとめてみました。
まあ、一発撮りって意味だと、ダブとかフリースタイルとかと何が違うんだって話になっちゃうんですが、そこはアーティストの自己申告(タイトル表記)基準で選盤してます。

日本語ラップ VS STUDIO LIVE!

BUDDHA BRAND 人間発電所 プロローグ CD

BUDDHA BRAND”魔物道”(LIVE AT RINKY DINK STUDIO ’96)
DEV-LARGEが「これが本当のスタジオライブ、いつもこんな感じでカマしたい!」とシャウトする開始5秒でクラシックを確信するはず。
日本語ラップでスタジオライブと言ったら、まずコレが思い浮かんだ人はなかなかのベテランヘッズかもしれませんが、店主もそんな一人なんで仕方ない!
“力石のテーマ”を2枚使いしたビートに乗って展開するスリリングな一発撮りスタイルで、個人的には完全にオリジナル・バージョンも超えてると思ってるんですが、権利関係がやはりアレだったのか、初期プレスの「人間発電所(プロローグ)」にのみ収録され、廃盤化した後に再発(?)されたジャケ違いの同盤の2NDプレスではトラック差し替え、「病める無限のブッダの世界」にも未収録。
無論BUDDHA BRAND(およびCUTTING EDGE)関連はサブスクも未解禁なんで、今となってはまずまず聴きにくい一曲になっています。

BUDDHA BRAND_黒船EP

BUDDHA BRAND”RADIO FREESTYLE STUDIO LIVE ’96”
続いてもBUDDHA BRANDからで、こちらはタイトル通り96年のラジオ出演時のフリースタイル(写真は、敢えて収録のCD「黒船」で)。
“魔物道”(LIVE AT RINKY DINK STUDIO ’96)よろしく、こちらはSMOOTHE DA HUSTLER”BROKEN LANGUAGE”の2枚使いの上で3本マイクのラップがアツい!
DR. JEKILLの日本語ラップ・ミックス「ILL VIBES VOL.5」でサイプレス上野やCRIME SIXXX(STERUSS)等が完コピしてたのも納得の格好良さ。
こちらの好演はDEV-LARGE自身も気に入っていたのか、こちらの「黒船」と”BUDDHAの休日”の12″に加え、「病める無限のブッダの世界」の本編にこそ未収録だったのものの、プロモCDの「INVITATION TO 病める無限のブッダの世界」のラストに収録していたんで、DEV-LARGE的には「病める無限のブッダの世界」への正に序奏的位置付けだったんだろうと推察します。

DJ GOSSY_地熱6

餓鬼レンジャー「STUDIO LIVE」
DJ GOSSYの和洋折衷ミックステープ「地熱」シリーズに収録された、まだデビュー前だった餓鬼レンジャーによる長尺スタジオライブ!
すでに6作目、関西のみならず全国的な人気を博していた「地熱」シリーズは当時かなり影響力が強く、そこでまだまだ全国的には無名だった餓鬼レンジャーが20分近い尺で6曲を披露。
後に彼等自身がキャリアを振り返っても「コレが転機になった」と語る程、2MCの軽快な掛け合いとギラついた熱量で、当時スゴいインパクトだったのを今でも覚えています。
RUN DMC”SUCKER MC’S”やMAESTRO FRESH-WES”FINE TUNE DA MIC”他、既発のUSヒップホップのビートをジャックしているものが多い中、DJ GOSSYがプロデュースした”TWO FACE THE MAN”(後の”ジキルとハイド”)は後でCD化されたバージョンとは何気にビート違い。
大ネタ、BEE GEES”SATURDAY NIGHT FEVER”のモロ使いにはさすがのP-VINEも日和ったのかもしれませんが(?)、それだけにこのテープのみのテイク(ひいては「地熱 VOL.6」自体)の希少価値は上がっている気がしています。
セットリストは”TIME LIMIT”、”プレッシャー”、”稲の根”、”ボンクラ”、”FREESTYLE”、”TWO FACE THE MAN”。

サ上とロ吉のBED ROOM RADIO 2009年3月号

STERUSS「STUDIO LIVE」
疑似ラジオ風CD「サ上とロ吉のBED ROOM RADIO 2009年3月号」に収録されたZZ PRODUCTIONのアニキ達、STERUSSのスタジオライブ!
同シリーズはおしゃべりパートの本編こそ、おふざけモード全開ですが、デモ紹介やスタジオライブのパートには横浜勢を中心に本気な内容が多くて、個人的にはそんな中でダントツ気に入っていた一枚。
OL’ DIRTY BASTARD”SHIMMY SHIMMY YA”やBLACK SHEEP”FLAVOR OF THE MONTH”他、既発のUSヒップホップのビートをジャックしたものから、サイプレス上野が飛び入りしてクラシック”マイク中毒 PT.2″のライブテイクまで聴かせてくれるのは贅沢…!
元々CDR仕様の1000円で出回っていたこともあって、オークションなんかだと今では捨て値で見つかるものの、(良い意味で)お値段不相応の内容だと思ってます。
時期のせいか、4THアルバム「円鋭」収録曲中心のセットリストになってます。

折角なので、前段で触れたYOUTUBEにアップされてるスタジオライブ動画もいくつか貼っておきます。

PUNPEE”フレンヅ”
「THE FIRST TAKE」に、”ODDTAXI”からのおかわりで2度目の登場となった”フレンヅ”。
再生回数では前回に及んでいないけど、個人的には普段の現場のノリをそのまま持ってきたこっちのが断然好み(と言うわけで、DJ ZAIと原島”ど真ん中”宙芳のダブルDJ体制!)。
言うまでもなくBRICK”FUN”を使用したビートは原曲のまま、一発撮りならではのスリリングな息遣いが最高!
特に、後半のタイトなスクラッチパート前後は何度でもリピートしてしまいます。

D.O「DOG HOUSE STUDIO」
DOG HOUSE STUDIO(INSPIRATION CLUT MEDIA)が一番最初にアップしたスタジオライブ。
(時に激しく、時にアコースティックにも演れるスタジオの雰囲気がそもそも良いんですが)明らかにBLUE HEARTS時代の甲本ヒロトを意識したであろうD.Oの佇まいも良き(サイドキックにはT2K、DJにG-FRESHで練マザファッカーもバックアップ)。
“FLY9″や”悪党の詩”辺りを一通り演って、I-DEA名義の”DEA BOYZ”でしっぽり締めてるのがまたイイ!

ZEEBRA & DJ KEN-BO「THE SHOW(DOG HOUSE STUDIO)」
最後はやっぱり、この記事を書こうと思ったきっかけの、ZEEBRA & DJ KEN-BOのスタジオライブで。
タイトに11曲(!)を詰め込んだ濃厚な17分間ですが、”PARTEECHECKA”や”I’M STILL NO.1″、”INNA CITY GROOVE”(!)辺りのソロ最初期曲もしっかり演って、ラストを”未来への鍵”で締める構成も、往年のヘッズを泣かしにきているとしか思えないセットリスト…。
直前に、THA BOSSの「フリースタイルじゃなくて、作り込んだアルバムで殺してみろ」発言が物議を醸していたんで、直ぐにアルバムをムリだったからって感じだったのかもな、と邪推してみたり(収録がそれ以前だったらすいません)。
勿論アルバムではないけど、BOSS発言へのアンサーに(ある程度は)なっているんじゃないかなと!
冒頭のDOUG E. FRESH & MC RICKY D(SLICK RICK)”THE SHOW”のオープニングからの初見時、曲名繋がりでNASの同名曲をジャックした”STREET DREAMS”、(まさかの!)スネークマンショー”咲坂と桃内のごきげんいかが1・2・3”をジャックした”STOP PLAYIN’ A WALL”にヤラれなかったヘッズは居ないと断言しておきます。

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