今、FRONTを読み返す – AUGUST 1998

FRONT_AUGUST 1998

表紙 – YOU THE ROCK

表紙はYOU THE ROCK、1998年8月号!
98年は言わずもがな、ソロとしての2NDアルバムのリリースタイミングで、アンダーグラウンドな雰囲気が充満した前作「THE SOUNDTRACK ’96」(クラシック!)から、自身のルーツに還るようなやりたい放題作(?)「THE★GRAFFITTIROCK ’98」への変遷、その心境を語るロングインタビューがメイン。
珍しい組み合わせでDEV-LARGEとの対談もあったりして、YOU THE ROCKファン以外も一見の価値有り。

余談ですが、「THE★GRAFFITTIROCK ’98」はLPだと見開きジャケでインスト盤も付いた4枚組(!)、CDも2枚組かつPCゲーム「GAME THE ROCK」(ただし、直近のWINDOWSだと、もうプレイできないとか…!)付きって仕様で、当時のCUTTING EDGEの本気度が窺えるような超ボリュームの力作!
ゴチャゴチャしまくってて正直、歪でしかないんだけど、「THE SOUNDTRACK ’96」とはまた違った熱量とかバイタリティーが確かに在って、自身の父親=BOSS THE ROCKを引っ張り出してみたり、オールドスクーラーPRESIDENT BPM=近田春夫を召喚したり、LAMP EYE”証言”ではディスってたスチャダラパーのSHINCOをプロデューサーに起用したアイデアとか、格好イイのか悪いのかがもはや分からないレベルの詰め込み過ぎたアートワークも前作以上に(歪さも含めた)初期衝動を感じさせる内容で、アルバムという作品単位での最高傑作かどうかは断言しかねるけど、YOU THE ROCKというキャラクターを確立した作品には違いないと思ってて(実際、「THE★GRAFFITTIROCK ’98」以降のキャラクターで「笑っていいとも!」にも出演、当時は日本語ラップ~ヒップホップのアイコン的存在になってた)。
そういう意味では、キャリアの転換期になった作品で、次作の「THE PROFESSIONAL ENTERTAINER」以降から(作品では)徐々に求心力を失っていくことを考えると、一時引退を経てTHA BOSSとの邂逅でカムバックを果たした2020年代(「WILL NEVER DIE」!)まで、長過ぎる冬の時代の前夜のタイミングでもあって。
なんか、今にして考えると今作で出しきちゃったのかな、とも思えてきて妙に感慨深くもあります。
いや、もちろん”BACK CITY BLUES”は名曲だし、”HOO!EI!HO!’98″も”DUCK ROCK FEVER”も、KRS-ONEバリのティーチャー節を炸裂させた”ユー・ザ・ロックのアウタヒア”も最高にアツいんだけども。

特集 – HOT FUN IN THE SUMMERTIME

特集は「HOT FUN IN THE SUMMERTIME」ってことで、編集部推薦のサマーチューン52選と、ギャル受けラヴリーR&B予想ディスク・ガイド35選。
前者は、HOTとCOOLって2つの切り口で、テーマに沿ってシングルもアルバムのアンカットも並列にピックアップ。
DJ JAZZY JEFF & FRESH PRINCE”SUMMERTIME”みたいなベタな感じは外して(別枠では紹介されてるけど)、KOOL G RAP & DJ POLO”TALK LIKE SEX”(HOT)とか、PHARCYDE”OTHA FISH”(COOL)、TLC”DIGGIN’ ON YOU”(COOL)みたいなとこから、アンカットなBLACKSTREET”GIVIN’ YOU ALL MY LOVIN'”(COOL)とか、NICE & SMOOTH”THE SKY’S THE LIMIT”(COOL)とか。
うーむ、分かるような、分からないような。
更に、相当珍しい気がするKREVA(!)とMOOMINによるレゲエのディスクガイドなんて変わり種も!
CASSETTE VISIONイベントでは、DJとしても活躍したKREVAのセレクトは、今となっては貴重か?

夏休みの宿題

変わり種と言えば、8月号でメイン読者層(?)の学生が夏休みに入っている時期だったんで、夏休みの宿題としてジャケットサンプリングのクイズ(全21問)が出題、全問正解者5名にはグッズが当たったそうな。
こういう企画は特段多かった印象は無いんで、一種のトライアルだったのかな…?
せっかくなんで、やってみた!

1)CAMP-LO「UPTOWN SATURDAY NIGHT」(LP)、V.A.「DOUBLE IMPACT EP 2」(CD)
2)DJ JAZZY JEFF & FRESH PRINCE「ROCK THE HOUSE」(LP)、RHYMESTER”B-BOYイズム”(12″)
3)SMIF-N-WESSUN「DAH SHININ’」(LP)
4)SON OF BAZERK「BAZERK BAZERK BAZERK」(LP)
5)MICROPHONE PAGER「DON’T TURN OFF YOUR LIGHT」(CD)
6)BEATNUTS「STREET LEVEL」(LP)
7)DJ SHADOW”Q-BERT MIX”(12″)
8)O.S.T.「ASSASSIN(S)」(CD)
9)脱線3″DAS THE MIC 1997″(12″)
10)DJ KENSEI「OLD SCHOOL FLAVA VOL.2」(MIXCD)
11)1-5IVE POSSE「LIFESTYLES OF THE YOUNG & CRAZY」(CD)
12)BRICK CITY KIDS”S.T.”(12″)
13)MURO「DAI SAN DANRAKU 97 PAGE」(CD)
14)YOUNG BLACK TEENAGERS「S.T.」(LP)、ROOTS”WHAT THEY DO”(12″)
15)ROOTS「FROM THE GROUND UP」(EP)
16)スチャダラパー”ULTIMATE BREAKFAST & BEATS”(12″)
17)REDMAN「DARE IZ A DARKSIDE」(LP)
18)FANATIK「WILD STYLUS」(EP)、V.A.「WILD PITCH CLASSICS」(CD)
19)JURASSIC 5「EP」(EP)
20)HILL THE IQ & DJ KOUSUKE”放火魔”(12″)
21)MELLOW YELLOW「MELLOW YELLOW BABY」(CD)

改めて、海外産と日本語ラップ/メジャーとインディーのバランス感覚が、どうにもFRONT的塩梅で(BLASTでの企画だったら、もっと日本語ラップに偏ってたと思う)、それも良き。

デモ紹介連載 – PLEASE LISTEN TO MY DEMO

将来的にV.A.「HOMEBREWER’S」シリーズへと発展するデモ紹介コーナー「PLEASE LISTEN TO MY DEMO」では、後にFILE RECORDSからデビューする鳥兜=トリカブトのデモテープが紹介されており、不意に見返すとちょっとビックリする感じ。
見たこともないけど、この辺りのデモテープも現存していたら相当なレアモノになってそうな気が…!

DEV-LARGE連載 – THE WORLD OF BUDDHA BRAND

DEV-LARGEの連載「THE WORLD OF BUDDHA BRAND(コワスギルこわすぎる男の世界)」での本号のロゴはこんな感じ。

DEV-LARGE_THE WORLD OF BUDDHA BRAND_AUGUST 1998

本編は、当時バブル期を迎えていたレコード買い付け事情に独自の観点から物申す内容で、けっこう刺さるパンチラインがいくつかあるんで、一部のみ抜粋。

昔のコンヴェンションには日本人もそんなに来てなかったし、マナーのあるバイヤーが多くいたんで、今ほど高くなかった。ラップの12インチなんかクソみたいな値段だったもん。プロモなんかは1ドルとか4枚で50セントとか。クラブなんかもそうなんだけど、流行りだすといろんな奴が来てメチャクチャになるよな。

FRONT – AUGUST 1998

昔は良かった的な話ではあるけど、これはレコードに限らず、万物の真理な気がする。
続きでNIPPSも書いてて、そんな流れでその後リリースされるNIPPSのソロでのデビューシングル”ISLAND”についても少し触れられてます(当時、日本ではまだ無名だったKEN SPORTの名前も!)。
連載外で、さらにLARGE PROFESSOR(+NEEK THE EXOTIC)との対談も掲載されてるし、前述のYOU THE ROCKとの対談も含めDEV-LARGEが大フィーチャーされた号だな、こりゃ。

ちょうど日本語ラップ作品のリリースタイミングが重なっただけだろうけど、作品の広告もチョイチョイ有って眺めてるだけで楽しい。

最後は裏表紙で、四街道NATUREの1STアルバム「V.I.C. TOMORROW」の広告も。
GUNTEZ RECORDS=おたのしみ研究所って在ったなあ…(遠い目)。

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