今、FRONTを読み返す – FEBRUARY 1998

FRONT_FEBRUARY 1998

表紙 – X-ECUTIONERS

表紙はX-MENことX-ECUTIONERS、1998年2月号!
翌月の表紙がPUFF DADDYという、このふり幅こそ98年という時代感を何より象徴してるような。
DILATED PEOPLESやJURASSIC-5、PEOPLE UNDER THE STAIRS、UGLY DUCKLINGとか、東海岸でBAD BOY勢がメジャーで幅を利かせる中、カウンター的に西海岸の地下からストイックなスタイルの連中が出てくる、みたいな、ある意味ではカオスなシーンだったかと。
で、表紙はX-MENで、現在まで唯一籍を置くTOTAL ECLIPSEをはじめ、ROB SWIFT、ROC RAIDA、MISTA SINISTAの4人という黄金期。
調べてみると、80年代終わりの結成当初は11名の大所帯だったようですが、97年にリリースされたデビュー作「X-PRESSIONS」時には4人体制にシェイプアップ。
思えば、2000年代初頭にMISTA SINISTAが脱退、ソロ活動も並行していたROB SWIFTが続いて脱退し、2009年にはROC RAIDAが亡くなってしまったし、LOUDからリリースされた2002年の2NDアルバム「BUILT FROM SCRATCH」までがグループとしては絶頂期だったように思います。

特集 – THE TRUTH OF UNDERGROUND HIPHOP

特集は「THE TRUTH OF UNDERGROUND HIPHOP」と銘打ったMARY JOYとのタイアップで、同レーベルからリリースされた名V.A.「TAGS OF THE TIMES」シリーズに参加したUSグループに大掛かりなインタビューを敢行してて。
SHING02(+ MURS)、MF DOOM、JIGMASTAS、MF GRIMM、NATURAL ELEMENTS、KOOL KIM(元UMC’S!)、MR. NO NO(SAAFIR)、POLY-RHYTHM ADDICTS、NATURAL RESOURCE等、2000年代以降も活躍した有名どころからそれっきりになっちゃった人達まで、V.A.参加メンツをほぼほぼ網羅してるんで、当時を知ってる世代には堪らない内容かと。

他にもDJ CLARK KENT、国内アーティストの方もBEAT KNUCKLES(!)やDJ MASTERKEYをインタビューしてて、表紙のX-MENからの流れでDJにフォーカスした内容になってます。
元々、FRONT時代のメイン読者層は若手DJだっただろうから、こんだけ偏った渋いセレクトでも成立してたんだろうなと。

単に時期的なことかもしれませんが、本号には日本語ラップの広告が殆ど入ってなくて、中面のDJ MASTERKEYのCUTTING EDGEのオフィシャル・ミックス「FAR EAST COASTING REPRESENT B.K.」と、裏表紙(内側)にFUTURE SHOCKのみ。

DEV-LARGE連載 – THE WORLD OF BUDDHA BRAND

DEV-LARGEの連載「仏陀のネタのタネ(毎回タイトルが微妙に違ってたりするけど今回は大変え!)」の本号のロゴはこんな感じ。

DEV-LARGE_THE WORLD OF BUDDHA BRAND_FEBRUARY 1998

「明けましておめでとう」から始まる内容は正直、2月号掲載の内容としてはちとアレなんだけど、冒頭から「ここ数週間のニュース」として重要情報が発表されてて。

  • ここんとこ都立大のRINKY DINK STUDIO(ILLISIT TSUBOI!)で、NIPPSとEL DORADOのテープのセッションが重なってGET BUSYだった。
  • NIPPSの”ISLAND”には、フックでDEV-LARGEとCQが参加予定だった(実現せず)。
  • EL DORADOのテープは制作当初からCISCOのヒップホップセール時に配布されるものだった。

その後には「俺の話を書く」とのことで、自身の生い立ち、バックボーンを振り返る長文を掲載。
これを読む限り、DEV-LARGEは小学4年生(1980年)から親の仕事の都合で渡米、ニューヨークに引っ越したようで(現地の小学校は、LARGE PROFESSORと同じところだったそう)。
自身のいじめ体験なんかも少し書かれてたりして、DEV-LARGEの素の部分が出た貴重な内容になってるんで、ABEMA TVでやってた追悼番組と合わせて読むといいかも。

ちなみに、FRONTでのライター募集企画の優秀作の発表で、現在も音楽ライターとして第一線を走る川口真紀、一ノ木裕之らの若き日のレビューが載ってます。
このライター募集には正直むちゃくちゃ憧れてて「いつか、きっと…!」と思ってたけど、まだ学生だった自分にはハードル高かったすね…。

裏表紙は、DEJJA!
INDOPEPSYCHICS、OSUMIとの連名の”百万光年のやさしさが注がれる限り”でデビューした♀シンガーで、神秘的なヴォーカルがすごく印象的だった人だけど、INDOPEPSYCHICS(DJ KENSEI)がフックアップしたこともあって一緒にアブストラクト~エレクトロニカ畑に行っちゃったから、あんまり日本語ラップのシーンとそんなにリンクしなかったのは、今となればちょっと残念でしたかね…。

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