B-FRESH”SHE SAID…” – VINYL DEALER的日本語ラップ追究【22】

追究 … 未知のものや不明の事柄を調べて明らかにしようとすること

B-FRESH_SHE SAID...表
B-FRESH_SHE SAID...裏

B-FRESH”SHE SAID…(BOY I WANNA BE YOUR NO.1)”
(B-FRESH PRODUCTIONS/JPN 12″/BFP-0001)

A-1 SHE SAID…(BOY I WANNA BE YOUR NO.1)
A-2 SHE SAID…(BOY I WANNA BE YOUR NO.1)(INSURUMENTAL VERSION)
B-1 MOTHER
B-2 MOTHER(INSTRUMENTAL VERSION)
B-3 MOTHER(A CAPPELLA VERSION)

B-FRESH_SHE SAID..._表
B-FRESH_SHE SAID...裏

B-FRESH”SHE SAID…(BOY I WANNA BE YOUR NO.1)”
(KING RECORDS/JPN 12″/DK 101-S)

A-1 SHE SAID…(BOY I WANNA BE YOUR NO.1)(YUTAKA EDIT VERSION)
A-2 SHE SAID…(BOY I WANNA BE YOUR NO.1)(RADIO EDIT VERSION)
B-1 SHE SAID…(BOY I WANNA BE YOUR NO.1)(INSTRUMENTAL VERSION)
B-2 BONUS B.E.A.T

時期によってメンバーが入れ替わって名前を変わっていくグループなんで、どの時代を語るかでちょっとややこしいんですが、B-FRESHとして活動開始~自主リリースからメジャーデビューを果たした”SHE SAID…(BOY I WANNA BE YOUR NO.1)”の時代は、MC BELL、CAKE-K、DJ BEATの2MC+1DJ体制(本作以前には、DJ KRUSHとその実弟、DJ BANG、MC BELLの1MC+2DJ時代のB-FRESH3、そこにMUROとCAKE-K、DJ BEATが加わってB-FRESH POSSE期もあり)。

自主盤(B-FRESH PRODUCTIONS)も、後のKING RECORDSの新装盤もグラフィティ調のジャケがなんとも90年代初期な気分で味わい深いですが、前者の方がもっと粗挽きな感じ。
中山美穂”WITCHES”をフックに持ってくる肝のアイデアはもちろん、定番ブレイクのFUNKADELIC”YOU’LL LIKE IT TOO”をメインに使用しているところまでは両盤のテイク共に共通してますが、リリックが若干違ってるのと、KING RECORDS盤には冒頭からスクラッチをフィーチャーしたDJ YUTAKAによるEDITバージョンを収録しているのがポイント。
また、自主盤にのみ、裏にオールドスクール調のディスコ・ラップ”MOTHER”を収録してる点も含め、2枚セットで揃えておきたい作品だと思います。

余談ですが、この辺りの平成初期頃(1989~92、3年頃)、MAJOR FORCE一派(スチャダラパー、ECDを含む)やPRESIDENT BPM率いるBPM RECORDS周辺、いとうせいこう辺りのオールドスクーラーをシーンの真ん中のメインストリームに据えると、当時まだ若手だったKRUSH POSSE~MICROPHONE PAGER、YOU THE ROCK & DJ BEN、POWER RICE CREW、SKIPS等が、本国のヒップホップのストリート感をよりダイレクトに持ち込むことでメインストリームのカウンターとしていよいよ機能し始めた時期だと感じていて。
(当時、MICROPHONE PAGERをはじめとするハーコーでギラついてた若手が槍玉に挙げたのは、特に分かりやすくアイドルのORCHIDSなんかも含めポップに展開していたMAJOR FORCEだったわけだけど)そんな日本語ラップ黎明期の戦国時代とも言えそうな時期に、中庸的なB-FRESHみたいなグループだったり、(本国で言うところのBEASTIE BOYS的に)バンド寄りのアプローチだったGAS BOYSやキミドリなんかもちゃんと居たというのが、とても面白い気がして。

その後、MICROPHONE PAGER周辺とECDが合流するような形で、96年にさんぴんCAMPで爆発する歴史の変遷を考えると、彼等の最も分かりやすい仮想敵になった(レーベルとしてはあくまでクラブミュージックの一部分としてヒップホップにアプローチしていた)MAJOR FORCE以外は自然淘汰されてしまった感も否めないけど、それ以外の勢力(?)もしっかりと存在していたわけで、そうやって積み上げられた血肉の上に現行シーンが存在していることも、今となっては正直あまり振り返られる機会は少ないけど忘れてはいけない事実だと思います。

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