BIG-RE-MAN「珍珍珍珍珍」 – #np 2023.07.04

レペゼン岩手、BIG-RE-MANのMC、KANDATAが亡くなったと聞いて…。
改めて聴き返した2015年の彼等のデビュー作「珍珍珍珍珍」の全曲レビューを、旧ブログより転載します(一部、追記/編集してます)。

BIG-RE-MAN_珍珍珍珍珍

BIG-RE-MAN「珍珍珍珍珍」
(-/JPN CD/MR-001)

01 – BIG-RE-MAN”ビックリ革命”
02 – BIG-RE-MAN”飯”
03 – BIG-RE-MAN”BIG 3″
04 – BIG-RE-MAN”KUSO”
05 – YUNBAD”SUSHI”
06 – ゴミハコ”なれないFUNKY!”(feat. BIG-RE-MAN)
07 – BIG-RE-MAN”まさるのヤツ”(LIVE REC 2013)
08 – BIG-RE-MAN”ニュースーパーツナ”
09 – BIG-RE-MAN”息子”(feat. QUIGE A RHYME)
10 – BIG-RE-MAN”NOSTALGIC”

レペゼン岩手は花巻、BIG-RE-MANが2015年に手売りのみで静かに販売開始していたデビュー作。
アバンギャルドでとんがりまくりなリリックの世界観で見え難いけど、しっかりヒップホップIQ高めの作りは、(初期の)スチャダラパー~サイプレス上野とロベルト吉野~STILLICHIMIYA的な塩梅。
90年代の古典的なヒップホップ・クラシック、往年の日本語ラップに加えて、昭和歌謡なんかからの直接的な引用、そこからの影響を隠さないゴッタ煮のミクスチャー感覚は、近年の主要アクトが当然のように -例えば、加山 雄三”お嫁においで”をオフィシャルでREMIXしたPUNPEEだったり、STILLICHIMIYAの”ズンドコ節”だったり、BLAHRMY”ON FIRE”なんかでNAGMATICが石原 裕次郎(と牧村 旬子)”銀座の恋の物語”を使用したように- 持ち合わせている「ソレ」と同じ匂いがします。
本編においては、後半に向かって加速していく(?)郷土臭こそが、もしかすると「ONE PEACH」/「PLACE 2 PLACE」の頃のSTILLICHIMIYAに確かに在って、「死んだらどうなる」でメジャー感と引き換えに損なわれた「何か」なのかも、と考えてみたり。
本作は2004~2015年に制作した楽曲をコンパイルしたらしく、故に良く言えばバラエティー豊富、悪く言えばヤミ鍋的な、振り幅のある一枚だと思います。

全曲レビュー

01 – BIG-RE-MAN”ビックリ革命”
自らの和洋折衷なスタイルを声高らかに告げる冒頭のアカペラが、彼等のやり口の全てと言っても過言ではないほど、実は(開始1分で)本作の核心を突いているような。
この辺の議論は、例えばRHYEMSTERが”リスペクト”だったり、「BITTER, SWEET & BEAUTIFUL」の”ガラパゴス”等々で散々語られてきたことだけど、日本語でラップをする上で避けては通れない命題にしっかり向き合ってみせるところに、一見おちゃらけてるけど実は「ちゃんとやってる」感が透けちゃった気も…!
楽曲の方は、オールドスクールの古典中の古典、FAB 5 FREDDY”DOWN BY LAW”の2枚使いに、3MCの掛け合いがシンプルながらも熱い!
クレジットは2004年、「俺等はラップ、始めました!」。

02 – BIG-RE-MAN”飯”
レゲエ気分のユルいビートで、ご飯ネタ(?)一本で最後まで引っ張る珍曲。
とは言え、「八方美人に発砲、2PACのように発酵し、後から糸ひく俺等のヒップホップ、ニッポン人のニッポン語」と歌うフックは、”ビックリ革命”から地続きな気も。
そう考えると、日本人の主食たる「飯=ごはん」というテーマ選びからして深い、のかも?
3分半を過ぎた辺りから始まる寸劇もギャグセン高め、クレジットは2011年。

03 – BIG-RE-MAN”BIG 3″
自ら3MC=BIG 3と持ち上げる直球のセルフボーストもの。
エレクトロ調のビートで、飛び交うフレーズのチョイスとボキャブラリーがいかにも彼等らしい感じで、クレジットは2005年。

04 – BIG-RE-MAN”KUSO”
ILL-SUGI作のモッタリした今時のビートに、往年のDAS EFXを彷彿させる「ディギディ」なフックとのミクスチャー感覚が絶妙にフレッシュ!
最後の最後で、唐突にブチ込まれるのはSEQUENCE”FUNK YOU UP”の一節。
クレジットは2015年。

05 – YUNBAD”SUSHI”
疑似「疑似ライブ音源」は、普通のレコーディング音源ってこと?
シンプルなビートに、「マイクを握れ、寿司握れ」という思いつきとしか考えられないフック先行で命名したようなタイトルと、深読みしようにも「考えるな、感じろ!」のパンチラインに諭されて思考停止…。
YUNBAND名義で収録、クレジットは2012年。

06 – ゴミハコ”なれないFUNKY!”(feat. BIG-RE-MAN)
同郷のバンド、ゴミハコの同名インストに客演した一曲で、ゴミハコによるロッキッシュなビートに乗って前ノメリなマイクリレーが素直に格好良し!
捻らず聴けば(?)、”ビックリ革命”と並んで本作のハイライトと言えるはず。
何気に、ゴミハコの白盤CDR「NO()EP」にも収録済み、クレジットは2011年。

07 – BIG-RE-MAN”まさるのヤツ”(LIVE REC 2013)
地元のクラブと思われるSOUND MUSEUMでのライブ音源!
郷愁が滲むビートで、最後のコールアンドレスポンスはなぜか「UZI THE 9MM」と「UBG」。
地元での愛され具合(?)が分かるような寸劇も、ただ微笑ましいすね。

08 – BIG-RE-MAN”ニュースーパーツナ”
アコースティックなビートにMC陣が入り乱れる展開だけでなく、いかにも歌謡曲っぽい節回しを無理矢理ハメたようなフックと、随所にブッ込まれるフレーズにも違和感たっぷり。
正にカオス、録音時期不明。

09 – BIG-RE-MAN”息子”(feat. QUIGE A RHYME)
“まさるのヤツ”よろしくの郷愁ビートで、「JIMBROWSKI」「JIMMY」「JOHNSON」「DICK」「COCK」的な下ネタのフックが最低(にして最高)!
言うまでもなく、唐突にブッ込まれる「な〜んでもできちゃう、は〜ずなんだ〜♪」は、往年のビスコのCMから拝借してます。
ちなみに、最後のヴァースをキックするQUIGE A RHYMEは、盛岡で活動するソロマイカーの模様。
クレジットは2012年。

10 – BIG-RE-MAN”NOSTALGIC”
ここでの「あの頃のヨタ話」感は、良く言えばスチャダラパー”サマージャム ’95″的で、郷愁が滲むビートに映える荒削りなユニゾンのフックも味わい深し。
時代が違って、この楽曲辺りが例えばV.A.「CONCRETE GREEN」(の一ケタ台)辺りに収録されていたなら、彼等はまったく違った存在になり得たかも、なんて妄想しちゃうような仕上がり。
クレジットは2013年。

振り返ると、90年代~00年前半頃までの地方産(= 非東京産)作品は、THA BLUE HERB「STILLING, STILL DREAMING」、ILLMARIACHI「THA MASTA BLUSTA」、GAGLE「3 MEN ON WAX」然り、名盤とされるものは多くが対東京を意識した、言わば中央へのカウンター的なスタンスだったけど、韻踏合組合やSTILLICHIMIYA辺りの躍進以降はローカル色をむしろ楽しみながら、あるいは誇るように(本当の意味で)地元をレペゼンする作品が徐々に増えていったシーンの流れがあり、本作もそんな作品の一つだと思ってて。
中央に対する引け目を滲ませることなく、地元で仲間とワイワイやってる和やかな雰囲気は、ともすれば身内ノリと誤解されるかもしれないけど、地元をレペゼンして盛り上げていくという意味ではヒップホップの原点とも言えるし、その精神はSTILLICHIMIYAの名曲”138″(後に田我流がソロで再演)で歌われたこととも地続きだと思います。
万人に名盤認定されるような類の作品ではないかもしれませんが、ローカル日本語ラップの佳作にして、日本語ラップ地図に岩手県を刻み込んだ作品として記憶しておくべき一枚だと思います。

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