
山田邦子”哲学しよう”
(VICTOR/JPN 7″/SV-7271)
A-1 哲学しよう
B-1 哲学しよう(VIENS PHILOSOPHER)
細野晴臣作のテクノサウンドに歩み寄った、またしても本格派ラップ歌謡!
山田邦子で、もういっちょ!
82年(昭和57年)リリース、前年の”邦子のかわい子ぶりっ子(バスガイド編)”がラップ歌謡として、近年は妙に認知されてきたせいか(?)、相対的にどうしても地味に映りますが、ギャグとしてはシュール(と言うか、かなり本気路線)で当時あまり売れなかったこともあって市場ではあまり見掛けない一枚。
作曲・編曲を御大、細野晴臣が手掛け、言わばYMO的なテクノサウンドに歩み寄って、ヴォーカルは自身の作詞でラップ的アプローチをとった、(あからさまなギャグ路線ではないけど)音楽的な系譜としては正しく”邦子のかわい子ぶりっ子”を更に押し進めたような実験的作り。
「哲学しよう~♪」と歌うフックにどうしても耳に残りしますが、ここでの邦ちゃんラップはスネークマンショー”咲坂と桃内のごきげんいかが1・2・3″を参考にしたフシがあるんで、”邦子のかわい子ぶりっ子”よりも断然ラップ的だったりします。
ラップパートのみ抜粋すると、こんな感じ。
洋モクなんか抜き取るくせに
ライター持つ手が、ぶーるぶる
お酒はいつから覚えたの?
グラスを持つ手が、ぶーるぶる
トゥナイト、ボーヤを帰さない
きゃしゃな体が、ぶーるぶる
何でもいいけど早くして
風もないのに、ぶーるぶる======================
踊りは何処で覚えたの?
ステップ踏む足、ぶーるぶる
強がり台詞、言うくせに
かわいい唇、ぶーるぶる
トゥナイト、まずは1000のキス
ボーヤの方が、ぶーるぶる
何でもいいけど早くして
風もないのに、ぶーるぶる======================
もっとそばで、お話ししましょ
山田邦子”哲学しよう”(RAP VERSE)
隣に座ると、ぶーるぶる
小さな声で聞こえない
掴んだ腕が、ぶーるぶる
トゥナイト、ボーヤを放さない
絡めた指が、ぶーるぶる
何でもいいけど早くして
風もないのに、ぶーるぶる
2小節のケツを必ず「ぶーるぶる」で締めるのが、ラップで言うところの韻風なのと、それがまた”かわい子ぶりっ子(バスガイド編)”でも使ってたフレーズというのも気が利いてます。
歌詞的には、経験豊富な年上女性がヤングボーイを誘ってるような歌詞で、”かわい子ぶりっ子(バスガイド編)”とは世界線自体が違う、という感じかな。
テクノ歌謡という括りだと、イモ欽トリオの”ハイスクールララバイ”なんかがヒットもして、特段そんな路線自体が売れ筋から大外れしているわけではないけど、歌謡曲っぽいキャッチーなムードは薄く、よりストイックなテクノサウンドに接近している印象。
YMO”RAP PHENOMENA”~スネークマンショー”咲坂と桃内のごきげんいかが1・2・3″に続く、YMO産ヒップホップの系譜に、山田邦子が”邦子のかわい子ぶりっ子”の流れから今度はギャグ無しで邂逅していた事実は、「日本語ラップ以前」の音楽史において非常に重要な出来事だったと改めて感じます。
7″はもちろん、収録された2NDアルバム「贅沢者」も含め、”邦子のかわい子ぶりっ子”、1STアルバム「ファースト」とは比較にならないほどレア。
和モノA TO Z誌、ラップ歌謡大百科掲載済み。



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