D.O「JUST BALLIN’ NOW」 – VINYL DEALER的日本語ラップ追究【3】

追究 … 未知のものや不明の事柄を調べて明らかにしようとすること

D.O_JUST BALLIN' NOW_PROMO_CD

D.O「JUST BALLIN’ NOW」
(D. OFFICE/JPN PROMO CDR/-)
2009年2月11日にAVEXから発表されるはずだった、幻の2NDアルバム。
発表前ギリギリの逮捕劇によって、大型店で事前予約していたユーザーの極一部にのみ正規盤も届いたようですが、こちらは発表前の受注用サンプルのCDR。
ちなみに、盤面の印字有無、印字の内容違いなど、サンプルCDRも複数種類が出回ったみたいですが、こちらは印字有りの分。

当時、バラエティー番組「リンカーン」への出演し、その強烈過ぎるキャラクターでマスアピールは万全の状態だったんで、もしも当初の予定通り、本作がリリースされていたなら確実に2009年を代表する一枚になっていたであろう力作。
今となっては「ディスる」は一般にも通じるワードになっていますが、これを浸透させた功績も大きいと思います。

ネット予約時に公開されていた幻のジャケも参考まで…。

01 – 下剋上
02 – I AM A 練マザファッカー
03 – N-WAY
04 – BOOT STREET BREAK DOWN
05 – イラナイモノガオオスギル(feat. JESSE)
06 – JUST BALLIN’ NOW
07 – COME ON メーン?!
08 – RHYME ANSWER(feat. RINO LATINA 2, UZI, 565)
09 – MY THUG STORY(feat. KEN-U)
10 – PLAYAZ DANCE FEVER
11 – PARTY NIGHT(feat. MICROPHONE PAGER)
12 – LESSON(feat. 泥王合唱団)
13 – LIL RAMPAGE(feat. CRISS-TUFF)
14 – PLAY DA GAME(ORIGINAL VER.)(feat. 練マザファッカー, 中川家 剛)
15 – DEAR HONEY(feat. RINO LATINA 2, MISON-B)
16 – TO NEXT STAGE

AVEXでお蔵入りとなってしまった本作は、D.Oが出所後、音源を買い取る形でどうにか世に出そうと奔走していたようですが、全曲そっくりそのまま、というのはさすがに難しかったらしく、後年に自主リリースで数曲を(目立たないように)ポロポロと小出しにすることしかできなかった様子。
本作の収録曲が、パラパラとフィジカルで小出しされた作品はこんな感じ(「JUST BALLIN’ NOW」のお蔵入り以前に発表されていたものも含む)。
あと、UZIのベストミックス「戦国合戦絵巻」に”RHYME ANSWER”、DJ G-FRESHの「N.M.F. TIMES」に”PLAY DA GAME”(中川家 剛ヴァース入り!)がシレッと収録されていたのはしっかり記憶しているんですが、ミックスは探せば他にもいくつかはあるかも。

練マザファッカー_S.T. VOL.1.5

練マザファッカー「S.T. VOL.1.5」
(D. OFFICE/JPN 2CD/NMF-2)

CD2
01 – 練マザファッカー”FIGHT BACK”
02 – LOYALTY”FOR ME”
03 – T2K”SOME PEOPLE HATE”
04 – PITGOB”CUT IN PLANT”
05 – D.O”N-WAY”

元々は、2008年の暮れにリリースされたクルー名義のアルバムの、翌年のデラックス盤のボーナスディスクの最後に”N-WAY”を収録。
客演も無しの楽曲なんで、とりあえずダマでシレッとやっちゃった感じかな?

D.O_NEVER GIVE UP

D.O「NEVER GIVE UP」
(D. OFFICE/JPN CD/DOKUGAKU2)

01 – TO ALL
02 – THIS IS MY LIFE(feat. PITGOB)
03 – プロブレム(feat. PITGOB, T2K)
04 – イキノビタカラヤルコトガアル
05 – 88秒待て
06 – PAINKILLER
07 – PARTY NIGHT

先んじてリリースした2NDアルバム「ネリル&JO」に続く2011年のEP「NEVER GIVE UP」では、同年3.11の福島第一原子力発電所事故を受けた”イキノビタカラヤルコトガアル”に紛れて、ボーナストラック扱いで”PARTY NIGHT”を収録。
MICROPHONE PAGERのクレジットは省かれているんで、もしかしてソロの再録テイクかと思いきや、ちゃんとMUROとTWIGYが参加したオリジナル・バージョンになっています。

練マザファッカー_PLAY DA GAME

練マザファッカー「PLAY DA GAME」
(D. OFFICE/JPN CDR/-)

01 – 練マザファッカー”PLAY DA GAME” ※中川家 剛ヴァース無し
02 – 練マザファッカー”RAPSTA PARADISE”
03 – D.O“MY THUG LIFE”(“MY THUG STORY”)

こちらは、練マザファッカー「S.T.」やD.O「JUST BALLIN’ NOW」の発売予定日よりも以前に、かのBOOT STREETのみでストリート・プロモーション用にCDRで手売りされてた一枚なんで遡ってしまう形になるんですが、クルー名義での”PLAY DA GAME”(もちろん、中川家 剛ヴァースはまだ録音前のはず)、ソロでの”MY THUG LIFE”(後の”MY THUG STORY”の原型)を早々に収録。
後者は、クルーのDJ G-FRESHのミックス「TIME TO “練”(練マザファッカーEDITION)」に収録されたりもして、後にD.OのヴァースはそのままにKEN-Uのフックを加え、改題したのが”MY THUG STORY”になります。

「JUST BALLIN’ NOW」本編に話を戻すと、BLUE HEARTS”爆弾が落っこちる時”を公式にサンプリングした”イラナイモノガオオスギル”(RIZEやBONEZのヴォーカルとして知られるJESSEが参加)は、後のBLUE HEARTSの公式トリビュートV.A. EP「終わらない歌」に先駆けたものだったし、「リンカーン」共演の縁での参加となった中川家 剛がラップする”PLAY DA GAME”も、今にして思えばその後に芸人MCたちが活躍する下地を作ったようにも思えて、もしも本作が公式に発表されていたなら今とは少し違う未来が待っていた気配しかせず…。

「リンカーン」の企画なんて、それ自体がABEMA TVの「フリースタイルティーチャー」と同じだし、振り返ってみると本作(やその周辺)で頓挫したアイデアが数年遅れで形になっているわけで、本作がいかに時代を先取っていたかを改めて感じさせます。
余談ですが、明らかに本編の目玉だった”イラナイモノガオオスギル”が結局、お蔵入りしたことを引きずってるわけではないでしょうけど、その後にカタカナタイトルがちょっとだけお約束化して、”イキノビタカラヤルコトガアル”や”トルカトラレルカナラ”辺りが続いていくのも興味深い流れではあります。

今となっては原盤そのままの形でAVEXから解禁されるのは絶望的、これまでの経緯を考えると自主リリースも難しく、必然的にサブスク解禁もないだろうと考えられます。
後にも先にも、恐らくは本作以上のお蔵クラシックは生まれ得ないと思うので、色々な意味で日本語ラップ史に残る一枚になりました。

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