本日12月21日は、調べてみるとスチャダラパーの5THシングル”SANTAFUL WORLD”のリリース日で(1992/12/21) 。※CDのリリース日
師走の年末ムードも盛り上がり、いよいよクリスマスが週末に差し迫ったこのタイミングで、日本語ラップ史において、恐らくは最も早くにリリースされたクリスマスラップと思われるスチャダラパーの往年のを名曲をピックアップ!
ジャケ無しの12″だと見た目が少し寂しいんで、クリスマス仕様のジャケが楽しい同タイトルの短冊CDシングル、さらに歴代の彼等の全短冊CDシングルを網羅してみました。
スチャダラパー”SANTAFUL WORLD”
(MAJOR FORCE・FILE RECORDS/JPN 12″/MF041)
A-1 SANTAFUL WORLD
A-2 SANTAFUL WORLD(SANTASTICK MIX)(feat. ピアノ星人)
A-3 SANTAFUL WORLD(INST)
A-4 LIVE AT SANTANISTA
B-1 TRIO THE CAPS
B-2 TRIO THE CAPS(INSTRUMENTAL)
B-3 スチャダランゲージ(質問:アレは何だ?)(REMIX)
B-4 スチャダランゲージ(質問:アレは何だ?)(REMIX INSTRUMENTAL)
日本語ラップにおいては「クリスマスラップの祖」と考えていい”SANTAFUL WORLD”ですが、恐らくはDE LA SOULが一足早く91年にリリースした”MILLIE PULLED A PISTOL ON SANTA”を多分に意識したであろう一曲。
ド頭から使用されているCARLA THOMAS”GEE WHIZ, IT’S CHRISTMAS”や、シャンシャンいってる鈴の音色がクリスマスムードを否が応にも盛り上げてくれるものの、リリックの方はよくよく聴いていると「蛍光灯割るひんしゅくサンタとセクハラ課長のアカペラショー」「12月の混み合う電車の中」とか、あとは締めの「聖なる夜は静かにふける」ぐらいで、クリスマスを暗示するような直接的なフレーズは意外と少なかったり。
後半に向かうにつれ、むしろ割とシリアスなトーンで、どんどんよく分かんないシチュエーションになってくんで、明るくて楽しい能天気なテンプレートのクリスマスソングって感じではないのが、ちょいヒネくれた初期の彼等らしいような気もします。
明らかにRUN DMC”HERE WE GO”を意識した入りの掛け合いからして最高に楽しい、短尺の疑似ライブ音源”LIVE AT SANTANISTA”は、”SANTAFUL WORLD”(SANTASTICK MIX)のアウトロ的に”星の願いを”として収録していた部分が改題されたもので、きっちりと「ポテン・ヒッツ(シングル・コレクション)」のLPにもトリで収録されていたので注意されたし。
ただ、”SANTAFUL WORLD”のオリジナル・バージョンのインストだけはこの形のみになっています。
続いて、短冊CDシングルはこんな感じで、メンバー3人でのサンタクロースのコスプレが眩しい!
スチャダラパー”SANTAFUL WORLD”
(KI/OON SONY RECORDS/JPN CDS/KSD2 1022)
01 – SANTAFUL WORLD
02 – SANTAFUL WORLD(SANTASTICK MIX)(feat. ピアノ星人)
彼等のオフィシャルサイトによればリリースは1992年12月21日ってことなんで、ギリギリながらも年末商戦向けってことね。
B面は12″はもちろん、後に「ポテン・ヒッツ(シングル・コレクション)」にも収録される”SANTAFUL WORLD”のオリジナル・バージョンと、ピアノ星人こと三井円を迎えたREMIXを収録。
ちなみに、スチャダラパーのキャリアを振り返ると、彼等名義での短冊シングルCDは合計10枚存在していて、リリース日、タイトルとB面曲をまとめるとこんな感じ。
リリース時期は92年から97年の5年間で、シングルCD自体がメディアとして登場したのが88年、一般的に全盛期が95年から97年といわれてるんで、スチャダラパーも当時メジャーレーベルの最前線で戦う上では必然的な移行だったと考えられます。
DATE | TITLE | B-SIDE |
---|---|---|
1992.04.21 | TRIO THE CAPS | スチャダランゲージ(質問:アレは何だ?)(PRINCE PAUL MIX) |
1992.12.21 | SANTAFUL WORLD | SANTAFUL WORLD(SANTASTICK MIX) |
1993.05.21 | コロコロなるまま | 後者(THE LATTER) / コロコロなるまま(遊星からの物体ミックス)(オリジナル・カラオケ) |
1994.03.09 | 今夜はブギー・バック(SMOOTH RAP) | 今夜はブギー・バック(LIVE AT BIG EGG?) / 今夜はブギー・バック(ラップ用カラオケ) |
1995.02.01 | ドゥビドゥWHAT? | ULTIMATE BREAKFAST & BEATS / ドゥビドゥWHAT?(オリジナル・カラオケ) |
1995.04.08 | FROM 喜怒哀楽 | NOBEL NAUGHTY BEATS / FROM 喜怒哀楽(オリジナル・カラオケ) |
1995.07.19 | サマージャム ’95 | サマージャム ’95(DIAMOND-D REMIX) / サマージャム ’95(クボタ タケシ リミックス) |
1995.10.04 | クライング・ドゥービーマン | ジゴロ7(LIVE) / クライング・ドゥービーマン(INST) |
1996.07.10 | アクアフレッシュ | クライング・ドゥービーマン(パンチ・ミックス) / アクアフレッシュ(INST) |
1997.06.01 | 大人になっても | 大人になっても(SOGO MIX) / 大人になっても(INSTRUMENTAL) |
こう見ると、上記の”SANTAFUL WORLD”の12″は、同タイトルと”TRIO THE CAPS”の短冊CDシングルの内容をA/B面に配置していることが分かります。
各短冊CDシングルの詳細は以下の通り。
スチャダラパー”TRIO THE CAPS”
(EPIC/SONY RECORDS/JPN CDS/ESDB 3294)
01 – TRIO THE CAPS
02 – スチャダランゲージ(質問:アレは何だ?)(PRINCE PAUL MIX)
“TRIO THE CAPS”といえば、後年の「3000」に収録された怒りのシークレットトラック”返せ!地球を 2011″で使用されたグループの変名としてもお馴染みのはず。
ただ、2011年にはブチ切れていた彼等ですが、92年にはフックで「ボンバイエ」と捲し立てる程度。
ちなみに、ボンバイエはリンガラ語で「ブッ殺せ/やっちまえ」って意味なんで物騒には違いないか…。
B面は、”スチャダランゲージ”のPRINCE PAULによるREMIXを収録。
スチャダラパー”コロコロなるまま”
(KI/OON SONY RECORDS/JPN CDS/KSD2 1034)
01 – コロコロなるまま
02 – 後者(THE LATTER)
03 – コロコロなるまま(遊星からの物体ミックス)(オリジナル・カラオケ)
児童向けの漫画雑誌「コロコロコミック」のテーマソングってことで、ジャケもそんな感じ!
この延長線上で、子供向けバラエティー番組「ポンキッキーズ」のテーマソングとして広く知られる”GET UP AND DANCE”に繋がっていったであろうことを思うと、彼等のその後のスタンスを決めた一曲とも言えるかも。
裏には、BOSEとANIのスタンスのコントラストが斬新な、かのDEV-LARGEもそのアイデアに嫉妬し、後に自身が手掛けたV.A.「ABSOLUTELY BAD」にも収録した”後者(THE LATTER)”も収録。
ちなみに、”後者(THE LATTER)”はスチャダラパー的にも手応えがあったのか(?)、カセットテープで単独のシングルも存在しています。
スチャダラパー”今夜はブギー・バック”(SMOOTH RAP)
(KI/OON SONY RECORDS/JPN CDS/KSD2 1061)
01 – 今夜はブギー・バック(SMOOTH RAP)
02 – 今夜はブギー・バック(LIVE AT BIG EGG?)
03 – 今夜はブギー・バック(ラップ用カラオケ)
小沢健二との合体作にして、スチャダラパーの名前を一躍、世に知らしめた説明不要の大出世曲!
小沢健二版の”今夜はブギー・バック”(NICE VOCAL)の短冊CDシングルとデザイン的に対になってて、12″では両CDシングルの収録内容を網羅するという、相手方とガッチリとタッグを組んだリリース形態も美しい感じ。
正しく小沢健二版と対になる”今夜はブギー・バック”(SMOOTH RAP)に加えて、剥き出しのビートの2枚使いの上で疑似ライブした”今夜はブギー・バック”(LIVE AT BIG EGG?)もアツい仕上がり!
ちなみに、「TRIPLE SHOT EP」に収録された、JERU THE DAMAJA”COME CLEAN”を2枚使いしたライブテイクとは、もちろん内容が違うので注意。
スチャダラパー”ドゥビドゥWHAT?”
(TOSHIBA EMI/JPN CDS/TODT-3404)
01 – ドゥビドゥWHAT?
02 – ULTIMATE BREAKFAST & BEATS
03 – ドゥビドゥWHAT?(オリジナル・カラオケ)
“今夜はブギー・バック”の50万枚超えのヒットでお茶の間の人気者になった彼等の次の一手(8THシングル)は、むしろ普段より肩の力が抜けたような”ドゥビドゥWHAT?”。
アルバムとしては5枚目にあたる「5TH WHEELS 2 THE COACH」からの(CDでは)1STシングルながら、COASTERS”BRAZIL”を使用したイントロからしてホゲまくりで、構えてたこっちが肩透かしを喰らう位の仕上がり。
裏の”ULTIMATE BREAKFAST & BEATS”はこっちがメインで12″も存在していますが、12″ではA/B面が逆になってて、”ULTIMATE BREAKFAST & BEATS”のインストと”ドゥビドゥWHAT?”のアカペラはそっちのみに収録。
スチャダラパー”FROM 喜怒哀楽”
(TOSHIBA EMI/JPN CDS/TODT-3463)
01 – FROM 喜怒哀楽
02 – NOBEL NAUGHTY BEATS
03 – FROM 喜怒哀楽(オリジナル・カラオケ)
「5TH WHEELS 2 THE COACH」からの2NDシングルは”FROM 喜怒哀楽”でタイトル通り、喜怒哀楽の4つの感情をヴァースごとに歌い上げたアイデアが秀逸な一曲。
完全に余談ですが、後年にCD化されたライブ盤「よりぬきスチャダラ全力投球!」(2012年のライブ物販作品)で披露されていた”FROM 喜怒哀楽”では、「哀」ヴァースが原発絡みのリリックに変更されていて、”返せ!地球を 2011″からの流れで聴くべきアレンジになっていました。
裏の”NOBEL NAUGHTY BEATS”は”ノーベルやんちゃDE賞”のインストで、ちょっとした声ネタを載せてDJツール的な仕上がりになっています。
スチャダラパー”サマージャム ’95”
(TOSHIBA EMI/JPN CDS/TODT-3519)
01 – サマージャム ’95
02 – サマージャム ’95(DIAMOND-D REMIX)
03 – サマージャム ’95(クボタ タケシ リミックス)
傑作「5TH WHEELS 2 THE COACH」からの3RDシングル。
夏の風物詩的日本語ラップと言えば、いまだにコレか、かせきさいだぁ”じゃっ夏なんで”を挙げる人が多い気がするんですが、もちろんスチャダラパーにとっても代表曲の一つと言えるはず。
BOBBY HUTCHERSON”MOTARA”を使用したビートに、他愛ないひと夏のヨタ話なんだけど、95年当時の空気感を絶妙に汲み取っていた気もして、夏曲うんぬんを抜きにしてもクラシック化しているのは納得出来るような。
意外な喰い合わせな気もするD.I.T.C.のDIAMOND DによるREMIXはLES MCCANN”THE HARLEM BUCK DANCE STRUT”を使用した、原曲とはまた違った浮つき加減ですが、キミドリのクボタタケシによるREMIXはCAPTAIN BEEFHEART & HIS MAGIC BAND”OBSERVATORY CREST”を使用した一筋縄ではいかないネタ使いにニヤリ。
95年でこのネタの選球眼は完全に早過ぎましたね、コレは…!
スチャダラパー”クライング・ドゥービーマン”
(TOSHIBA EMI/JPN CDS/TODT-3580)
01 – クライング・ドゥービーマン
02 – ジゴロ7(LIVE)
03 – クライング・ドゥービーマン(INST)
6THアルバム「偶然のアルバム」からの1STシングルは、意外にも(?)作中でもストイックめだった”クライング・ドゥービーマン”。
所々でDELFONICS”TOO LATE”やHERBIE HANCOCK”PEOPLE MUSIC”(の中盤)を使用しているものの、よりネタ感の強い”アクアフレッシュ”よりも、こっちが1STシングルってとこに彼等の気概を感じます。
余談ですが、タイトルの元ネタは漫画の「クライング・フリーマン」だそうで、本来はそれ風の(?)ジャケにする計画だったようなんですが、直前に問題になって白ジャケになってしまったそうな(故の、裏ジャケの「オレショック」なのかも)。
恐らく、お蔵入りしたジャケのデザインと思われる同サイズのステッカー(オモロマンことシャシャミン作)も、オークションなどではたまに見掛けます。
裏の”ジゴロ7″のライブテイクもアツい!
スチャダラパー”アクアフレッシュ”
(TOSHIBA EMI/JPN CDS/TODT-3763)
01 – アクアフレッシュ
02 – クライング・ドゥービーマン(パンチ・ミックス)
03 – アクアフレッシュ(INST)
MELVIN JACKSON”MA, SHE’S MAKIN’ EYES AT ME”の特徴的フレーズを抜き出したビートが渋い!
「偶然のアルバム」からの2NDシングルは、ほぼほぼステッカーという特殊ジャケ仕様で、裏ジャケのシールが完全に残ってる美品を探すのは、今となってはちょっと難易度高いかも(そうでもない?)。
後に、和モノ・ラバーズレゲエの人気V.A.「RELAXIN’ WITH JAPANESE LOVERS」シリーズにも収録された”クライング・ドゥービーマン”(パンチ・ミックス)も収録されています。
スチャダラパー”大人になっても”
(TOSHIBA EMI/JPN CDS/TODT-3963)
01 – 大人になっても
02 – 大人になっても(SOGO MIX)
03 – 大人になっても(INSTRUMENTAL)
残念ながら短冊CDシングルでは存在していない”GET UP AND DANCE”に続いて子供向けバラエティー番組「ポンキッキーズ」で使用された”大人になっても”は、彼等名義の短冊CDシングルとしては最後のリリースにして、TOSHIBA EMI期の最後のシングル。
同時期にリリースされた盟友、小沢健二の”大人になれば”との関係性は明かされていないものの、恐らくは後発のスチャダラパーの方が薄っすら被せにいったのか(?)、そんな感じ。
「ポンキッキーズ」で使うことありきの楽曲だったのか、契約上の問題かは不明ですが、オリジナルアルバムには未収録だった一曲でもあります。
CDのジャケを流用したデザインでお馴染みの12″には、アカペラと”大人になっても”(SOGO MIX)のインストも追加されていました。
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