SCARS「THE ALBUM」 – #np 2023.09.02

本日9月2日は、調べてみるとSCARSの1STアルバム「THE ALBUM」のリリース日で(2006/09/02) 。※CDのリリース日
SCARSと言えば、各々のソロワークでも知られるSEEDA、A-THUG、BES、STICKY、BAY4K、MANNY、SAC、I-DEA(現在は脱退)等が2003年頃に結成した大所帯グループで、SEEDAのソロでの絶頂期に並行して躍進した印象があります。
今となっては、STICKYが亡くなり、A-THUGもニューヨークに活動拠点を移したりと、グループのリユニオンは難しそうですが、過去作品の輝きは全く鈍ることはなく、特にデビュー作「THE ALBUM」は2000年代中期の最重要作品の一つだと思います。

SCARS_THE ALBUM_表
SCARS_THE ALBUM_裏

SCARS「THE ALBUM」
(P-VINE/JPN 2LP/PLP-6961・2)

A-1 IN DRO
A-2 SHOWTIME FOR LIFE
A-3 1 STEP, 2 STEP
B-1 YOU ALREADY KNOW
B-2 HOMIE HOMIE(REMIX feat. SWANKY SWIPE)
B-3 S.T.(SCARS)
C-1 BRING DA SHIT
C-2 ばっくれ
C-3 あの街この街…(feat. GANGSTA TAKA)
D-1 LOVE LIFE
D-2 JUNK MUSIC
D-3 日付変更線
D-4 OUTRAW

2006年当時はCDのみで、そちらも廃盤になっていた時期には中古市場で高騰する人気でしたが、2019年のCD再発と合わせて2LP化しました。
デザイン的に対になる2NDアルバム「NEXT EPISODE」との同時リリースもインパクトが大きく、けっこう話題になった気がします。

全曲レビュー

01 – “IN DRO”
イントロ代わりの”IN DRO”から主要メンバーが揃い踏み、ダミ声で凄むSEEDAに始まり、BES~BAY4K~STICKY~A-THUGへと続くマイクリレーが強烈。
とにかくBES、続いてSEEDAのフロウ巧者振りが際立つ本作ですが”IN DRO”からして、という感じ。
ビートは、当時V.A.「CONCRETE GREEN」周辺で目立っていたHIKOの仕事。

02 – “SHOWTIME FOR LIFE”
BACHLOGIC作のタフなビートに乗って、1番手のA-THUGからド直球のハスラーラップが炸裂、続くBAY4K、BESヴァースをSEEDAのフックで繋ぐ構成。
ここでのBESのフロウもやっぱりキレまくってるんですが、A-THUGとBAY4Kもイイ味出しててぜんぜん負けてません!
BESが目立ってはいても、グループとしてのコンビネーションがうまく発揮された一曲だと思います。

03 – “1 STEP, 2 STEP”
ETTA JAMES”CHANGES”を早回しで使用したソウルフルなI-DEA作のビートを、抜群のリズム感で優雅に乗りこなしてみせるBESの実質的ソロ曲。
ここでのBESは、ハスラーラップというよりは等身大の、もっとポジティブなメッセージを歌ってて、むしろ清涼感さえあるような。
余談ですが、CDに歌詞カードが無かったにも関わらず、ウェブ上に多くのリリックが残っているのが皆がこぞって耳コピした記録に思えて、当時のBES人気と評価の高さを改めて感じるような。

04 – “YOU ALREADY KNOW”
BESに続いて、STICKYの実質的ソロ曲。
SCARS結成時はラップ経験がまだ浅かったらしいSTICKYですが、この”YOU ALREADY KNOW”では早くも得意のマネートークを展開していて、今となってはその後のキャラ付け(?)にも一役買った一曲と言えるかも。
次作「NEXT EPISODE」に収録された実質的ソロ曲”何が残る”でDJ GEORGEがキレまくりのスクラッチで披露した「明確にする/計画」/「文無しになるか金持ちになるか/まぁ2つに1つだ」/「新たなストーリーはここから」というフレーズも確認できます。

05 – “HOMIE HOMIE”(REMIX)(feat. SWANKY SWIPE)
SCARSからはSEEDAとBESとBAY4K、客演にSWANKY SWIPEからEISHINが参加してて、4MCのマイクリレーを披露する”HOMIE HOMIE”(REMIX)は、間違いなく本編のハイライトの一つと言えるはず。
ソウルの早回し使いのビートがいかにも2000年代中期頃の気分ですが、ビートは本編では”IN DRO”/”日付変更線”と共にHIKOの仕事。
なお、こちらはA-THUGとSBJのBEBEの代わりにBAY4KとEISHINが参加したメンツ違いのREMIXなんですが、唯一収録されたV.A.「CONCRETE GREEN」のレア化が進み過ぎてオリジナル・バージョンの存在を知らない人も多いかも。
オリジナル・バージョンとこのREMIXの中間のような形で、本テイクの頭にA-THUGヴァースを貼り付けただけの非公式バージョン(A-THUGのミックステープ作品「YEEEAH THUG」に収録)も在ったりと、複数のテイクが存在しているが故に余計に混乱させられます…。

06 – “S.T.(SCARS)”
尺は3分弱と短めながらも、”IN DRO”と共にMANNY以外の5MCが揃い、I-DEA作のビートの上でマイクを交わした貴重な一曲。
フック無し、各人のヴァースも短めでタイトなマイクリレーですが、各々のキャラクターがしっかりと立っており、これぞSCARSという感じで、セルフタイトルの冠も納得の仕上がり!
ちなみに、STICKYの1ヴァース目には、後にNORIKIYOが”オレナラココ”のフックで使用した「ジェイルがこのゲームの代償」、次作に収録された実質的ソロ曲”何が残る”で擦られた「この世界は俺らのモノ 誰にも邪魔はさせねぇ、当然だろ」/「逃げ道なんてものココには無い」/「金もチャンスも無い訳じゃない、俺はただ金儲けがしたい」等、パンチラインが盛り沢山。

07 – “BRING DA SHIT”
冒頭の寸劇も含めて実質的なBAY4Kのソロ曲で、ビートはメンバーのSACが担当。
ハスラー稼業の日常を切り取ったようなストーリー仕立ての淡々としたリリックに派手さは無いけど、ハスラーラップ作品の名作に数えられる本作中においての位置付けはなかなかに意味深いと思います。
翌2007年には、ソロとしての1STアルバム「I AM…」がリリースされましたが、そちらにはもちろん未収録。

08 – “ばっくれ”
BACHLOGIC作の重厚なビートの上で、STICKY~BES~SEEDAのマイクリレー。
3者共に裏切者を追及するような攻撃的なリリックなんですが、この時点では名指しこそしていないものの、STICKYヴァースは次作の”曝けだす”でBAY4Kに向けられた言葉とダブッてくる部分も多いんで、今となればそちらとセットで聴くことでよりコクが出る(?)一曲かもしれません。

09 – “あの街この街…”(feat. GANGSTA TAKA)
後に晴れてメンバー入りを果たすGANGSTA TAKAこと現・林鷹の客演曲にして、一方で正規メンバーにしては登場回数が異常に少ないMANNYの唯一の出番。
BAY4Kと共に、練マザファッカーのメンバーとしても知られるJASHWON(とT-KC)が手掛けた、CONTROLLERS”HEAVEN IS ONE STEP AWAY”を早回しにしたソウルフルなビートで、SEEDA、GANGSTA TAKA、MANNYがお金と友達をテーマに三者三様にキックしていますが、”BRING DA SHIT”~”ばっくれ”に続く配置もアルバム構成として絶妙。

10 – “LOVE LIFE”
BESの”1 STEP, 2 STEP”、STICKYの”YOU ALREADY KNOW”、BAY4Kの”BRING DA SHIT”に続き、メンバーのソロ曲としてはラストとなったA-THUGの実質的ソロ。
I-DEA作の超爽やかなビートで、(リリックはハードだけど)独特のホゲた調子で終始キックするヴァース、鼻歌気分で自身で歌い切ったフックも含めてA-THUG節全開のハスラー賛歌!
ちなみに、リリックを少しだけ変えたREMIXがA-THUGのミックステープ作品「YEEEAH THUG」にも収録されました。

11 – “JUNK MUSIC”
前曲に続きI-DEA作のビートに乗ったSTICKY~BAY4K~SEEDAによるマイクリレーで、フェイクやヘイターに釘を刺しつつ、しっかりと東京をレペゼンする一曲。
またまた、STICKYの1ヴァース目からは次作の”何が残る”で擦られた「用はねえ」/「今と昔、何も変わらねぇ 俺のやるべき事をやるだけ」/「まだ忘れてねぇハングリーさ」等が確認できます。

12 – “日付変更線”
HIKOが手掛けた、CONTROLLERS”IF TOMORROW NEVER COMES”を使用したビートは作中でも屈指の大ネタ使いか?
本作においては”ばっくれ”に続いてSTICKY~SEEDA~BESの布陣で、ストリートでのハスリングをテーマにキックしていますが三者共ストレートに格好良し。
ちなみに、”日付変更線”もA-THUGヴァースを貼り付けたような非公式REMIXが、A-THUGのミックステープ作品「YEEEAH THUG」に収録されていました。

13 – “OUTRAW”
1曲目の”IN DRO”と対なる形で、オーラスは”OUTRAW”で締め!
WALTER BEASLEY”JUST HOLD ME”を使用したSAC作のビートに乗って、1ヴァース目のBAY4Kの歌い出しからしてユルめの感じですが、一瞬だけ倍速のフロウで畳みかけるSEEDAに続き、トリはリーダーのA-THUGが担当。
ハスラー稼業は廃業、これからラッパーとして生きると高らかに宣言するポジティブなA-THUGのリリックは、終始重たいハードな内容が続く本作の最後の最後、本作の一服の清涼剤的なエピローグとしてしっかり機能していると思います。
ちなみに、A-THUGヴァースの「プレッシャーと不安から逃れる」のフレーズは、野太いスクリュー仕様で次作の”WHAT U GOT”のフックで使用されました。

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