追究 … 未知のものや不明の事柄を調べて明らかにしようとすること
直近は黎明期の作品ばかりを紹介してたんで、少し気分を変えて。



DJ $HIN & SHING02「PEARL HARBOR/JAPONICA EP」
(MARY JOY/JPN 12″×2/MJLP-004)
A-1 DJ $HIN & SHING02″PEARL HARBOR”(ENGLISH TOJ O MIX)(feat. BAS-1)
A-2 DJ $HIN & SHING02″PEARL HARBOR”(ENGLISH TOJ O MIX)(INSTRUMENTAL)
A-3 DJ $HIN & SHING02″PEARL HARBOR”(ENGLISH TOJ O MIX)(A CAPELLA)
B-1 DJ $HIN & SHING02″PEARL HARBOR”(JAPANESE SNAKE:EYEZ MIX)
B-2 DJ $HIN & SHING02″PEARL HARBOR”(JAPANESE SNAKE:EYEZ MIX)(INSTRUMENTAL)
B-3 DJ $HIN & SHING02″PEARL HARBOR”(JAPANESE SNAKE:EYEZ MIX)(A CAPELLA)
C-1 SHING02″JAPONICA – TRIMESTER”(ALLEGRO CON BRIO. LAR:GHETTO. MOL TO VIVACE)
C-2 SHING02″INSTRUMENTALS:TRIMESTER”
D-1 SHING02″SINCE BY MAN CAME DEATH”
D-2 SHING02″JAPONICA – REJUVI:NATION”
D-3 SHING02″JAPONICA – REJUVI:NATION”(INSTRUMENTAL)
D-4 SHING02″JAPONICA – REJUVI:NATION”(A CAPELLA)
SHING02が「緑黄色人種」、NUJABESとの”LUV(SIC)”シリーズで本格的にブレイクする前の98年に、関西バトルDJ界の重鎮、DJ $HINとの連名でMARY JOYからリリースした2枚組EP。
NUJABES”LUV(SIC)”シリーズの印象が強過ぎて、今となってはそれ以前の作品はあまり振り返られる機会が少ない気がしますが、デビュー当初はUS西海岸はオークランドを拠点としたDEL THE FUNKY HOMOSAPIEN周辺からの逆輸入で、日本語と英語のラップ比率は半々ぐらいのアンダーグラウンドなバイリンガルMCってイメージだったように思います。
海外からの視点で(憂いつつも)日本の性をハードにブッタ斬ってみせた、98年のデビューシングル”日本性事情(LAID IN JAPAN)”はなかなかに衝撃的でしたが、続く本作もタイトル通り、真珠湾攻撃に言及、盟友BAS-1と一緒に英語で歌う”PEARL HARBOR”(ENGLISH TOJ O MIX)と、ソロで日本語でラップする”PEARL HARBOR”(JAPANESE SNAKE:EYEZ MIX)共々、日米間のタブーを素手で殴りつけるような仕上がり。
今振り返ってみても、日本人MCが国内シーンでこのデリケートゾーンに敢えて言及しようというのは、そもそも発想自体も出ないように思うし、トピックの選び方からして逆輸入MCならでは、という感じ。
正直、当時は事前のインフォメーションが殆ど無かったことと、作品付属のインデックスも分かりにくかったんで、詳細がよく分からなかったんですが、2007年のCD再発時に詳しいインフォメーションが公開されてて。
以下はそこから抜粋。
本作のオリジナルにあたる「PEARL HARBOR / JAPONICA EP」は、1997年秋から1998年秋の間に録音されたSHING02の初期作品で、二枚組のアナログとCDで1998年12月に発表された。制作時期としては「絵夢詩ノススメ」(1996-1998年)の後で、「緑黄色人種」(1998-1999)の前となる。「戦争と日本」という二つのコンセプトを持つこのアルバムは、「PEARL HARBOR」と「JAPONICA」という二枚のEPを一枚にまとめたものである。「PEARL HARBOR」は、アメリカ・ベイエリアを拠点に活動する日本人MC = SHING02が零戦のパイロットの視点になってラップするという、「戦争」をテーマにした楽曲。
(中略)
ビートは、大阪からサンフランシスコにDJ武者修行に来ていたDJ $HINが担当し、そのビートとベースラインから飛行機のプロペラとエンジン音を連想したSHING02が曲のテーマを決めた。
英語バージョンは、第一バースが1941年の日本人兵士という設定、そして第二バースが1998年のアメリカで活動する日本人MCという設定、(中略)
対して「JAPONICA」は、SHING02のスタンド=「VECTOR OMEGA」(緑黄色人種、400LP、歪曲LPなどSHING02主要作品をプロデュースしている)の初プロデュース作品であり、「日本」をテーマに作られた曲群。インストとスクラッチで作られた”TRIMESTER”三部作と、JAPONICA BANDのビートにSHING02のラップを加えた”REJUVI:NATION”という、二つのバージョン。そして、銃声がドラムになっている”SINCE BY MAN CAME DEATH”というインストトラックを加えたもの。スクラッチは、サンフランシスコでSHING02と共に活動していた、DJ TOP BILLと DJ RYOTA(共にCIRCUS DJS)が担当。また、後に「緑黄色人種」に参加するバンドメンバー(TERRACOTTA TROUPE XGND)が、ギターやベースなどで参加している。
DJ $HIN & SHING02「PEARL HARBOR/JAPONICA EP」 – 2007年のCD再発時のリリース・インフォメーションより
ぶっちゃけ、”TRIMESTER”も”REJUVI:NATION”も、DJ $HINと一緒にやってると思ってた人が大半だろうけど実は違ってて、タイトルで単に曲をスラッシュでセパレートしてたんじゃなくて、作品自体も別時期で別メンツと作られた2作品をコンパイルしてたという事実…!
コレは、当時ちゃんと説明しといてくれないと絶対分からんと思います。
アナログ派は2007年のCD再発すら知らない人も多いだろうし、敢えて長々と抜粋してみました。
JAPONICA BANDなるものの詳細が今をもって分からないんですが、”TRIMESTER”のスクラッチはどうやらDJ TOP BILLによるものだったらしく。
こちらでは声ネタこそスクラッチされるけど、SHING02のラップは一回休み。
ラストはインスト/アカペラ完備で収録された、JAPONICA BANDによるビートの上でSHING02が英詩でラップする”JAPONICA – REJUVI:NATION”で締め。
最後になりましたが、”PEARL HARBOR”でのテーマ設定と12″のジャケ(日本軍の攻撃により、今まさに沈没する戦艦アリゾナ)が過激過ぎたせいでクレームが入ったとか何とかで、98年当時のCDは白ジャケに差し替え、12″もビニールで封がされ不許可シールを貼った検閲仕様(?)で出回るという異例の事態でしたが、その辺りはすでに記憶が風化しかけている人も多いかもしれません(詳細なインフォが出回らなかったのもそのせいか?)。
裏ジャケも含め、極右姿勢で攻めまくり尖りまくりなアートワークは、サブスク全盛の今だからこそ刺さる気もします。
備忘録的に、今となってはネット上でも殆ど拝めない12″の未開封のデッドストックも載せておきます。



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