日本語ラップとジャパレゲは良い関係【1】

タイトルはNORIKIYOの某曲からサンプリングさせてもらって。
夏になるとレゲエが聴きたくなるのは、日本語ラップヘッズを含め万人共通の感覚だと思うんですが、日本語ラップとジャパレゲ、ひいてはヒップホップとレゲエの関係性をどう捉えるか、というのは諸説有ると思ってて。
よくいわれるヒップホップとレゲエは兄弟(みたいなもん)っていうのは、やっぱりそのルーツがブラックミュージックで、本質がレベルミュージック/カウンターカルチャーであること、ヒップホップの原点といわれるブロックパーティー(都市の中の一つ、もしくは一つ以上の区画の路上で行われるパーティーのこと)時代から活躍したレジェンドDJ、KOOL HERCがジャマイカからの移民で、ヒップホップ黎明期にジャマイカのカルチャーが持ち込まれたこと等、色々あるけど、こと国内の日本語ラップとジャパレゲに関しては、黎明期でまだ互いにシーンが小さかった時期から作品やイベントで切磋琢磨してきた戦友、というのが本当のところだと思います。

アナログで聴く、日本語ラップ MEETS ジャパレゲ!

その辺りが、ZEEBRAが客演したジャパレゲ畑のHIBIKILLA”CULTURE 365″でも少し歌われています。
楽曲自体が、自らがレペゼンする音楽(レゲエとヒップホップ)のルーツを互いに紐解いた上で、365日共闘してくって内容なんで、今回の記事のテーマとはピッタリ過ぎる一曲。

そしてストーリーは海を越えてニューヨーク
ジャマイカ移民のDJ 名前はKOOL HERC
レゲエのリディムでチャントする代わり
ブレイク繰り返したジャズ、ロックにR&B
それに合わせ踊ったのがBボーイ

(中略)

例えばレゲエがヒップホップカヴァーしたり
例えばラッパーがパトワでかましたり
例えりゃキリがねぇ程の この関係
昨日や今日じゃないぜ 行こうぜ、このままで

HIBIKILLA”CULTURE 365″(ZEEBRA VERSE)
HIBIKILLA_CULTURE 365

HIBIKILLA”CULTURE 365″
(KARIANG RECORDS/JPN 7″/-)

A-1 HIBIKILLA”CULTURE 365″(feat. ZEEBRA)
B-1 TURBULENCE”DOWN DOWN DOWN”

HIBIKILLAは本作に加えて、お返し客演とばかりに同年2006年リリースのZEEBRA「THE NEW BEGINNING」に収録されたスキット”BEAT BOXING”に参加したこともあり、日本語ラップ・リスナーの間でも知名度高めのDEEJAYかと。
7″が存在しているのは意外と知られていないかもしれません。
残念ながら、ラベルが誤植で”CULTURE 356″になっちゃってますが、正しくは”CULTURE 365″!

“CULTURE 365″に参加したZEEBRA(と当時クルーがまだ存続していたURBARIAN GYM勢)は、日本語ラップ・シーンにおいてもレゲエとの交流にとりわけ積極的で、自身名義の作品にジャパレゲDEEJAY/シンガーを呼び寄せた楽曲も含めればそこそこの数になりますが、本記事ではアナログで存在しているものから抜粋してご紹介します。

N.K.M._TOGETHERNESS

N.K.M.”TOGETHERNESS”
(KARIANG RECORDS/JPN 7″/KRC 007)

A-1 N.K.M.(AKTION, OJ & ST, CJ, JUNNOSUKE, BOY-KEN, MAKA RUFFIN, ZEEBRA)”TOGETHERNESS”
B-1 JAH MASON, TERRY GANZIE, KULCHA KNOX, LOUIE CULTURE, ANTHONY B, DONIKI, STEADY RANKS”TOGETHERNESS”

N.K.M.はCDリリース時の名義であるNAKAMA RACING CREWの略だと思われ、AKTIONこと真木蔵人がプロデュースしたアパレルブランドの名前なんで、その旗印でリリースした一曲って理解でイイのかな…?
2000年前後に真木蔵人の仕切りでNAKAMA FLEXなるライブツアーもやっていて、ジャパレゲ畑の面々はそっちに参加してたメンバーなんで、プラスURBARIAN GYM勢(ZEEBRA、OJ & ST)が参戦した豪華布陣。
ちなみに、CDでは”NAKAMA RACING FLEX”に改題されているんですが、内容は7″と同様。
改題されたCD版のタイトルを鑑みるに、やっぱりライブツアーのアンセムとしてリリースされた一曲ってことなんでしょうね、多分。
そういう背景を受けてか(?)、ZEEBRAの客演集「100 FEAT.」には未収録でした。

BREDREN_FORWARD TO ROOTS

BREDREN”FORWARD TO ROOTS”
(KARIANG RECORDS/JPN 7″/-)

A-1 FORWARD TO ROOTS(feat. ZEEBRA, CRISS, TRUTHFULL)
B-1 YOU ARE EVERYTHING(feat. DONIKI)

KARIANG RECORDSカタログから、もういっちょ!
国産レゲエバンド、BREDRENにFIRE BALLのCRISS、TRUTHFULLと共にZEEBRAが参戦!
FIRE BALL本隊ともZEEBRA名義の”BURNITUP”で共演してるんで、その前後に実現した一曲だと思われますが、ZEEBRAヴァースはタイトルにちなみ、自身の”未来への鍵”やキングギドラ”行方不明”的なバック・イン・ザ・デイもので、日本語ラップヘッズには少し既聴感のあるリリックかも。
ちなみに、ここまでのKARIANG RECORDSのZEEBRA絡みの3枚は、全て2003年のリリース。
ZEEBRA的にレゲエがアツかったタイミングだったのか、たまたま縁が繋がったのかは定かではないですが、時系列で考えると2002年にキングギドラ「最終兵器」がリリースされていて、例の”公開処刑”でBOY-KENと一緒に演っていたりするので、そこでレゲエ熱が盛り上がったのかしら…?

DRUM METHOD_気付け/築け
DRUM METHOD_気付け/築け_裏

DRUM METHOD”気付け/築け”
(BANDAI MUSIC/JPN 12″/APJA-3)

A-1 気付け/築け(feat. AKEEM THA ILLMANAGOO, UZI, ZEEBRA, NG HEAD, 三木道三)
A-2 気付け/築け(INSTRUMENTAL)
A-3 気付け/築け(ACAPPELLA)
B-1 気付け/築け(feat. AKEEM THA ILLMANAGOO, UZI, ZEEBRA, NG HEAD, 三木道三)(RECONSTRUCT)
B-2 気付け/築け(RECONSTRUCT)
B-3 気付け/築け(RECONSTRUCT)

DRUM METHODは、DJ DOUBLE-Kこと故・山本克則の変名プロジェクトで、他にもレゲエと日本語ラップの橋渡し的を残しているんですが、最も有名なのが本作のはず。
御存知、”BAM BAM”オケに乗ってURBARIAN GYM勢からZEEBRA、UZI、AKEEMの3名と、ジャパレゲ勢から三木道三とNG HEADが参戦!
結果、美味しいところはDRUM METHODの盟友、三木道三が搔っ攫っちゃってる気がしないでもないけど、意外とこういう感じのクラシカルなダンスホールオケで、MCとDEEJAYが入り乱れるマイクリレーものってそんなに多くないんで、もっと評価されてもイイ気がします。
ヒップホップREMIX的な”気付け/築け”(RECONSTRUCT)は、各人リリックも変更されていて、そちらの三木道三ヴァースの「なんの為に命はもうたん」がEVISBEATS”DO THE HIPHOP”で使用されたことでも有名。

さらに、URBARIAN GYM繋がりでもう2枚。

三木道三_いいじゃん
三木道三_いいじゃん_裏

三木道三”いいじゃん”
(BANDAI MUSIC/JPN 12″/APJA-5)

A-1 いいじゃん(feat. 歌丸, T.A.K THE RHYMEHEAD)(セクハラミックス)
A-2 いいじゃん(セクハラミックス)(INSTRUMENTAL)
A-3 いいじゃん(セクハラミックス)(ACAPPELLA)
B-1 いいじゃん(feat. 歌丸, T.A.K THE RHYMEHEAD)(女喰いミックス)
B-2 いいじゃん(女喰いミックス)(INSTRUMENTAL)
B-3 いいじゃん(女喰いミックス)(ACAPPELLA)

上記、DRUM METHOD”気付け/築け”と同時期に同じくBANDAI MUSICからリリースされた三木道三の一曲には、RHYMESTERの宇多丸(当時は歌丸と表記)とURBARIAN GYMからT.A.K THE RHYMEHEADが客演。
質感としてはヒップホップビートに三木道三が参加したって感じなんで、あんまりラガっぽさこそありませんが、のっぺりとした”いいじゃん”(セクハラミックス)、個人的にはNICOLE MCCLOUD”NEW YORK EYES”を使用して艶っ気のある”いいじゃん”(女喰いミックス)、それぞれラップも撮り直していて甲乙付け難い内容になっています。
宇多丸は、RHYMESTERのキャリア初期から、同じような路線の”星に願いを”/”あわよくばパワー”、”隣の芝生にホール・イン・ワン”等を歌ってきてるんですんなり聴けますが、リリシストとして知られるT.A.K THE RHYMEHEADの下ネタトークはレア?
本作よりも一寸早いタイミングで出回っていたDJ DOUBLE-Kの日本語ラップ・ミックステープ「弐」でも、UZIと共にURBARIAN GYMとしてフリースタイルを披露していたので、そんな繋がりから実現した座組みと考えられます。

UZI_FLYING HIGH

UZI”FLYING HIGH”
(OASIS RECORDINGS/JPN 7″/-)

A-1 UZI”FLYING HIGH”
B-1 JUN”NIGHT & DAY”

ZEEBRAに引っ付いてDRUM METHOD”気付け/築け”に参加していたUZIも、実は2003年に一枚だけソロで7″をリリースしてて。
KREVAも参加した日本語ラップ/ジャパレゲ混合V.A.「DANCEHALL HIGH!!」からのシングルで(KREVA”BABY DANCER”も7″カット済み)、単なる企画盤と言ってしまえばそれまでなんですが、UZIのベストミックス「戦国合戦絵巻」にも未収録だったんで、日本語ラップヘッズでもけっこうスルーしちゃってる人が多いかもしれません。
オケがレゲエってだけで、いつものUZI節なんで聴かなくても想像はつくかもしれませんが…!

コメント

タイトルとURLをコピーしました