今となってはTSUTAYAとかGEOみたいなレンタルCDショップというのは、サブスクサービスの浸透に伴って完全にオワコンになりましたが、2000年代に全盛を迎え、2010年代も前半ぐらいまでは音楽好きにとっては無視はできないサービスだったと思います。
大阪ではK2RECORDS日本橋店なんかも象徴的なお店でしたが、ついに2021年をもって閉店してしまったこともまだ記憶に新しいところ。
店主は昔から購入派で、レンタルCDをフル活用してた時期というのは殆どないんですけど、金は無いけど音楽欲と時間だけは沢山ある学生時代だけは、少しお世話になりました。
貸本だったり貸レコードの時代から数えると、これもこれでそれなりの歴史を持ったビジネスだし、(ある意味では)それも一つのメディアやチャネルとして機能していた時期があったことを振り返ると、その歴史が静かに閉じつつあることに感慨深いところもあります。
実際、そこで日本語ラップ作品と初めて出会ったことを告白しているアーティストも少なくなくて、このサービスが音楽シーンに貢献してきたことも忘れてはいけない事実だと思っています。
日本語ラップ MEETS TSUTAYA!
そんなレンタルビジネス界の巨人、前述のTSUTAYAと日本語ラップのアーティストが組んだ企画作品が、これまでにいくつか遺っており。
さすがにもう新たには出てこないであろうことも踏まえ、目ぼしい日本語ラップのレンタル限定作品をこの機会に振り返ってみたいと思います。
中古市場でフィジカル作品を見つけた際には、ぜひ優しく保護してあげてほしい作品群かと!
サイプレス上野とロベルト吉野「サ上とロ吉のINMIX」
(FELICITY/MIXCD/PECF-1044) 2012.02.08レンタル開始
01 – ちゅうぶらりん(feat. 後藤まりこ)
02 – BAY DREAM(FROM 課外授業)
03 – INTRO
04 – サ上とロ吉
05 – 契り外伝 PT.2
06 – 空っぽの街角(REMIX)(feat. LUVLAW, BTB)
07 – ボンクラの唄 P.K.A 僕等の唄(東スポLUV)
08 – (契り)
09 – ヨコハマジョーカー
10 – YOKOHAMA LAUGHTER
11 – START LINE(feat. RYUZO)
12 – NEXT EPISODE
13 – バウンス祭
14 – ハヴァブレイク
15 – FEEL LIKE DANCE(feat. SLY MONGOOSE)
16 – 横浜×藤沢 酒呑みRAP(feat. DEEP SAWER)
17 – 担当者不在
18 – PRINCE OF YOKOHAMA
19 – BUMP
20 – WONDER WHEEL
21 – DEAR MAMA
22 – TIME IZ ONLY IT THAT CAME
MIXED BY ロベルト吉野!
メジャー・デビュー前でもない2012年の3RDアルバム「MUSIC EXPRES$」のプロモーションの一環で企画された、それまでのキャリアのベストミックス的内容。
バトル上がりのロ吉だけにバキバキのトリックを仕掛けてくるかと思いきや、そこはやっぱりレンタルCDの客層 = マス層の取り込みを意識してか(?)、2枚使いの派手なトリックは無しで、それぞれの楽曲をしっかり聴かせる内容になっています。
“ヨコハマジョーカー”や”BAY DREAM(FROM 課外授業)”、”WONDER WHEEL”、”PRINCE OF YOKOHAMA”辺りの代表曲はもちろん、アルバム曲もしっかりとフォローした全22曲収録。
以後、客演ベストミックス「サ上とロ吉ミーツALLグッドみんな」や、紅白の2種類を同時発表した「ザ・ベストテン 10TH ANNIVERSARY BEST」だったりと、ベスト盤が多発しているものの、それに先駆けて限定的に出回ったキャリア初期音源に絞られた本盤の存在は意外と忘れがちかもしれません。
SALU「IN MY SHOES 1.5 MIXTAPE」
(ONE YEAR WAR MUSIC/MIXCD/OYWM14002) 2014.05.21レンタル開始
01 – REBIRTH
02 – KAZE
03 – MAKE IT HOT(feat. TSUGUMI)
04 – IN MY LIFE(REMIX)(feat. PES)
05 – THE GIFT ON A BOARD
06 – QUESTION
07 – THE WATCHER ON WOODS
08 – 厚木 IC
09 – ホームウェイ 24号
10 – JUST A CONVERSATION
11 – BUTTERFLY EFFECT
12 – 月の光
13 – CHANGES(feat. MUMMY-D)
14 – RUNNERS HIGH
15 – STAND HARD(REMIX)(feat. NORIKIYO, AKLO, Y’S)
16 – MY CITY
17 – FLOW IN THE RAIN(feat. 桜木カオリ)
18 – 夢から覚めた夢
19 – SWIM IN MY POOL
20 – I GOTTA GO
21 – GOODTIME
BACHLOGICが仕掛けたレーベル、ONE YEAR WAR MUSICからの第1弾アーティストとして華々しくデビューしたのが2012年。
その後のメジャーデビューEP「IN MY LIFE」、フリーで配信されたミックステープ「BIS2」(フィジカルCDは500枚限定)頃までのキャリア初期の音源をミックスしたのが本作、タイミング的には2NDアルバム「COMEDY」に先駆けたプロモーション目的で、同作からもラストに”GOODTIME”のみ先行収録。
全21曲を53分でテンポ良く走り抜けるような感覚は、正しくSALUのテイスティングですが、いまだオフィシャルにはベストミックスが他に存在していないSALUだけに、何気に価値ある一枚ではあるかと。
ANARCHY「INDIES CLASSICS」
(R-RATED RECORDS/CD/RRR-1021) 2014.05.28レンタル開始
01 – ANARCHY”9 BLOCK”
02 – ANARCHY”GROWTH”
03 – ANARCHY”CHANGE THE GAME”(feat. RYUZO)
04 – ANARCHY”LUCK LAST”(feat. LA BONO, AK-69)
05 – ANARCHY”AWAKENING”
06 – ANARCHY”FATE”
07 – ANARCHY”K.I.N.G.”
08 – ANARCHY”PLAYING IN THE GHETTO”
09 – RUFF NECK”FUCK YOU”
10 – ANARCHY, RINO LATINA 2, 漢, MACCHO”24 BARS TO KILL”
11 – DABO, ANARCHY, KREVA”I REP”
12 – RUFF NECK”KYOTO CHILLIN'”
13 – ANARCHY”BY MY SIDE”
タイトル通り、メジャーデビューに先駆けてこれまでのインディー時代 = R-RATED RECORDS期の作品を網羅したベスト盤。
古くは2005年のFUTURE SHOCKからのデビューEP「GHETTO KING」に収録された、キャリア最初期の”9 BLOCK”に始まり、”GROWTH”や”FATE”、PLAYING IN THE GHETTO”辺りの代表曲から、RUFF NECK名義での”FUCK YOU”、レーベル仕切りのV.A.「24 HOUR KARATE SCHOOL JAPAN」に提供された”24 BARS TO KILL”、MANHATTAN RECORDS仕切りの”I REP”といったレーベル外のアーティストとのジョイント曲もしっかり押さえ、さらにエクスクルーシブとしてSKI BEATZ作の”BY MY SIDE”まで収録した全13曲。
フリーで配信した「DGKA」から一曲のみ持ってきたのが、(後にリメイクもする)”LOYALTY”でも、同作中ではいかにもシングルっぽい作りの”SUPER BAD”や”GANGSTAR”じゃなく”KYOTO CHILLIN'”で、しかも敢えてグループのRUFF NECK名義にした選曲が最高…!
“KYOTO CHILLIN'”自体も京都っ子にはそれだけで泣かせる内容だし、地元愛を感じさせます。
AVEXからのメジャーデビュー時の”RIGHT HERE”で、京都の清水寺でMV(RUFF NECKメンバーもキャメオ出演!)撮って、リリックの内容もバック・イン・ザ・デイものって、本当に完璧なお膳立て。
こういうストーリーが無かったら、インディー時代からのファンはひょっとしたらもう少し離れてしまっていたかもしれませんね。
SALU & THE DREAMBANDGUNJO「THE CALM」
(ONE YEAR WAR MUSIC/CD/OYWM15002) 2015.02.18レンタル開始
01 – SALUの惑星
02 – SIGN
03 – 砂の城
04 – ピラミッド(feat. KOHH)
05 – 歪んだ愛
06 – INSOMNIA
07 – 夢に触れる(feat. 青山テルマ)
08 – SHINE
09 – カタチ(feat. YOSHIRO)
先だってTSUTAYAレンタルのみで発表した「IN MY SHOES 1.5 MIXTAPE」に続く、SALU関連の2作目。
OHLDが籍を置くバンド、DREAMBANDGUNJOとの連名作品となる本作、MVも撮られた”砂の城”や”歪んだ愛”辺りのイメージが強くて少し内省的なイメージが先行していたかもしれませんが、全編を通してみれば、SALUの陽な面が発揮された”SIGN”/”SHINE”、KOHHを迎えた”ピラミッド”、UNDERSLOWJAMSのYOSHIROを迎えた締めの”カタチ”等、これまでの作品同様、SALUらしいポップさもきっちりと聴かせてくれます。
ただ、どれも耳当たりが良くてスルリと聴けてしまうんで(善くも悪くも)引っかかりがないと言うか、後年のものも含めて他のSALU作品に比べると、作品自体の印象が少し薄いかも。
元々、デジタル配信がメイン、フィジカル(CD)がTSUTAYAレンタルのみのリリース形態だったため、早々にサブスク解禁もされたせいでフィジカルが存在していること自体があまり知られていない?
DJ 8MAN「THE BEST OF R-RATED CLUB HITS MIX」
(R-RATED RECORDS/MIXCD/RRCD-0010) 2015.09.26レンタル開始
01 – RYUZO & SMITH-CN”ALLDAY NINJA”
02 – ANARCHY”ENERGY DRINK”
03 – GAZZILA”RAIN MAKER”
04 – DJ BEERT & FLAMMABLE”FUCK RAP GAME”(feat. T.O.P.)
05 – T.O.P.”I’M SO HIGH”(feat. KOHH)
06 – SMITH-CN”ROLLIN'”
07 – RYUZO”BOOM BOOM BAP”(feat. DJ TY-KOH, SMITH-CN)
08 – ANARCHY”GRAND THEFT AUTO”
09 – T.O.P.”NEW JAP CITY”(feat. RYUZO, KOJOE)
10 – RUFF NECK”FUCK YOU”
11 – GAZZILA”WHAT’S MY NAME”
12 – ANARCHY”SUPER BAD”
13 – SMITH-CN”TAKE IT 2 THE TOP”
14 – SMITH-CN”SMALL CITY TO BIG DREAMIN'”
15 – RYUZO”IT’S MY TOWN”(feat. ANARCHY)
16 – NAUGHTY”ビルの間”
17 – GAZZILA”PAPER CHASER”(feat. JAGGLA)
18 – ANARCHY”SCHOOL OF HARD KNOX”(feat. MACCHO, T.O.P.)
19 – T.O.P.”HEY HATER”
20 – ANARCHY, RINO LATINA 2, 漢, MACCHO”24 BARS TO KILL”
21 – RYUZO”24 BARS TO KILL”(MYC REMIX)
22 – ANARCHY”FATE”
23 – RYUZO”STORY”
24 – ANARCHY”LOYALTY”
25 – RUFF NECK”SOUND TRACK”
26 – RYUZO”HATE MY LIFE”
27 – T.O.P.”LISTEN BABY”(feat. TRIGA FINGA)
28 – ANARCHY”MAGIC HOUR”(feat. PUSHIM)
29 – RYUZO”この場所で会おう”(DJ 8MAN DUB)
ANARCHY「INDIE CLASSICS」に続いて、R-RATED RECORDSとTSUTAYAのジョイント第2弾。2015年には、DJ HAZIMEが手掛けたオフィシャルミックス第1弾「EX”R” TO THE NEXT”R”」はもちろん、ストリートミックスの「R-RATED COLLECTION」の全4作もひとしきり出きったタイミングだっただけに正直、当時そこまで大きな話題にはならなかった気もするけど、選曲がANARCHYは2013年にフリー配信された「DGKA」中心になっていたり、2012年にジョインしたSMITH-CNやT.O.P.、GAZZILA等の楽曲が多めに収録されている等、後期のレーベル音源を網羅することで先のミックス作品とは収録曲をしっかりと入れ替えているのは、何気に気が利いていると思います。
“24 BARS TO KILL”ではRYUZOのビートジャック版も混ぜ込んでいたり、後半のハイライトと言えそうなRYUZO”THE STORY”〜ANARCHY”LOYALTY”〜RUFF NECK”SOUND TRACK”というバック・イン・ザ・デイもの繋がり等、選曲にもニヤリとさせられるはず。
ちなみに、大トリのRYUZO”この場所で会おう”は本作のみのダブで収録しています。
なお、本作は例外的に(?)レンタル開始の翌週から、R-RATED RECORDSのサイトで正式に販売もされていた珍しいパターン。
PUNPEE「RENTAL’S」
(SUMMIT/CD/SMMT-103・XQMV-91001) 2017.08.23レンタル開始
01 – PUNPEE”HERO”(TRAILER)
02 – 加山 雄三”お嫁においで 2015″(feat. PUNPEE)
03 – SUGBABE”夏休み(宵)”(feat. PUNPEE)
04 – PUNPEE”PLAY MY MUSIC”(DIRECTOR’S CUT)(feat. METEOR)
05 – PUNPEE”POPSTAR”
06 – STUTS”夜を使いはたして”(feat. PUNPEE)
TSUTAYAのレンタル限定作品としては、最後の花火になった印象のPUNPEE「RENTAL’S」。
PSGとしての一連の活動を経て、待たせに待たせたソロデビュー作「MODERN TIMES」に先駆けたプロモーションの一環として、今となっては超が付くプレミア価格で取引されるストリートアルバム「MOVIE ON THE SUNDAY」にも収録した”POPSTAR”とMETEORを迎えた”PLAY MY MUSIC”、STUTSに客演した”夜を使いはたして”、DEXPISTOLSのDJ DARUMAの日本語ラップ・ミックス「3 WORDS RADIO “SUMMER, SHOWER, SODAS”」に提供したSUGBABE”夏休み(宵)”といった既発曲に加え、「MODERN TIMES」から先出しした”HERO”を含む全6曲のEP。
大作「MODERN TIMES」へ、この上ないブリッジになった一枚だと思います。
在日ファンク「ベスト・オブ・在日ファンク(覗いてごらん見てごらん)」
(P-VINE/CD/PCD-4527) 2011.08.24レンタル開始
01 – きず
02 – 爆弾こわい
03 – ダンボール肉まん
04 – 京都
05 – 環八ファンク
06 – 罪悪感
07 – 才能あるよ
08 – 京都(2011 LIVE VERSION)
09 – きず(2011 LIVE VERSION)
最後はオマケで、元SAKEROCKの浜野謙太率いる和製ファンク・バンド、在日ファンクのキャリア初期のベスト盤も!
日本語ラップ好きにも、サイプレス上野との”BAY DREAM(FROM 課外授業)”辺りでお馴染みのグループだと思いますが、彼等にもTSUTAYAと組んでレンタル限定盤が在りました。
2011年時点、それも同年の2NDアルバム「爆弾こわい」のリリースに先駆けたプロモーションだったんで、同作からは先行で”爆弾こわい”/”才能あるよ”の2曲のみ、あとはそれ以前のデビュー作「S.T.(ZAINICHI FUNK)」とEPから抜粋になるんで、ベスト盤とは言えども選曲の範囲がかなり狭くなるんで、今となってはもう面白味が薄いのは止む無し。
ただ、アルバム1、2枚のサイクルでレーベル移籍を繰り返している彼等だけに、どうしてもベスト盤は仕切りにくいみたいなんで本企画以降、ベスト盤を謳った編集作品はリリースされていないんで、ある意味では貴重な一枚かもしれません。
ちなみに、”きず”のライブ・テイクは本盤のみの収録。
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